図20血管壁の長さと張力図(Burton)
通常の状態では,この水力学的圧とコロイド浸透圧の関係は一定によく保たれているが,種々の状況で変化しうる。たとえば,起立によって細静脈側の圧が上昇すると,水分は間質へよけいに移行するので浮腫を生じやすくするし,また,運動にさいして筋肉の代謝が高まると細動脈の緊張は低下して拡張し,毛細管内の水力学時的圧は上昇するので,需要に見合った血管外への以降を生じうる。
E 静脈系の機能
静脈系は,起立する人間では四足の動物と異なり,きわめて特殊な状態にあるといえる。イヌやネコなどの四足の動物では,静脈系の大部分が心臓よりも上のほうに位置しているので,静脈から心臓への血液の帰還,すなわち静脈還流が良好で,立ちくらみを起こすことはない。
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