ホスピスにはファイヤープレイスがありますが,ここに火を灯すのもボランティアです。このように環境の整備のサポートもボランティアがしています。ホッとする雰囲気を演出するのもボランティアならではです。
このステンドグラスもボランティアの制作になるものです。やわらかな光を室内に採り入れています。このような日常の一こまだけでも,ボランティアがホスピスにいなかったら……と考えると,ホスピスケア自体が成り立っていかないだろうと思います。
ボランティアの存在意義を再確認
ホスピスは医療の延長線上にあるデラックスな医療機関というのではなく,私たちが日常生活しているコミュニティの延長線上にあるものだと思うのです。ボランティアは社会の風をホスピスに送り込んでくれるたいせつな役割を担っています。
そして,表現はむずかしいのですが,ボランティアは医療者に対するチェック機能を果たす役割も担っているのではないかと思います。これまでの医療は医療者中心になりがちで,どうしても独善的になりがちなところがあったように思いますが,それを普通の目で見て,検証して,いけない点はいけないとはっきりというのも,ホスピスでのボランティアのたいせつな働きだと思います。そういう意味でボランティアは,ホスピスの理念を支える役割も担っているのです。
今日の講師がどなたもいわれましたが“そこにいる”ということがとてもたいせつだということをもう一度改めて確認しなければなりません。ボランティアのもっているマンパワーは,実はボランティアの働きの中では副次的なものではないかと考えます。
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