これはハイデルベルグのみならず,ドイツ中にできつつある700〜800にのぼる地域活動のどのグループにも
当てはまることです。この出発点の違いのために,その後に続く講座内容の違い、実習の有無,計画性の違い,費用
面での違いなどが出てきます。
ハイデルベルグでホスピスボランティアの仕事をしようと志した者は,講座を受けるための採用インタビュー,8回
の夕方の集まりと3回の週末集中講座を受け,最後に契約書にサインをして,2年間ホスピス家庭訪問をする義務を課
されます。すなわち,計画性は企画者側のみではなく,ボランティア側にも初めから要求されています。企画者は収穫
を初めから見積もっているために,受講者から少ない受講料を取っていても,合理的な投資をしたといえると思います。
しかしながら,より多くの市民にホスピスの概念を知ってもらおうというのが講座の意図であれば,参加者から必要なだ
けの受講料を取って行う「あいち」の場合のような講座にも意味があります。
相互の意思確認と適正判定の問題点
さらに,養成プログラムの中の2,3の問題点について簡単に触れたいと思います。まず,受講する前の採用イン
タビューについてです。私たちは1人ずつ福祉事務所の2人の職員を前にして,ホスピス運動に関する自分の考え,ボラ
ンティアを志望する動機などについて,1時間近く質問を受けました。志望する者もその機会に企画者側の意図を尋ね
ることができました。志望者の中の最近身内の者を失った者,宣教の意図があるのではないかと思われる者などには,
企画者側から再考慮のための期間を与えられ,グループヘの招待が保留にされたと聞きました。ここでもホスピスボラ
ンティアと他のボランティアの場合の違いが明らかです。
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