このようなベッドを持つホスピスがドイツ中で50くらいあると思われます。
もう一つの形はホスピス家庭訪問グループで,主に各町村のキリスト教会の福祉事務所を根拠に,800に近い(1998年末)小さな
グループがドイツ中に生まれていると聞いております。
私はこのホスピス家庭訪問グループの仕事のほかに,老人ホームの身寄りの少ない老人を訪ねるボランティアを7年前からして
おります。ここにはホスピスという名前はついていませんが,言うなれば,息の長い死への随伴と見ることもできます。
私がしているこの二つのボランティアの仕事に見られる性格の違いは,まず老人ホームでは,前もって何らの教育を受けることも
なく,また契約もなく,毎土曜日の午後に自由意思で訪問をしていることです。それに対してホスピスグループの仕事は,始める前に半
年間の教育をグループで受け,契約を結んで教会の組織の職員としてやっていることです。
ボランティアという言葉はドイツ語ではEhrenamt(エーレンアムト)と呼ばれ,名誉職という意味です。本職はHauptamt(ハウプトア
ムト)と呼ばれます。が,いずれの表現にもAmt(アムト)“職”という言葉が入っています。一部の者は「Ehrenamt」ではなくて,「Freiwillige
Mitarbeit(フラィヴィリゲ・ミットアルバイト〕という表現を好んで使います。これは,「自由意思で一緒にする仕事」,すなわちボランティア
と訳せます。私の場合,老人ホームでの役目は自由意思による協力ですが,ホスピスグループの場合には名誉職員として登録されてい
て,それなりの義務を課され,いくつかの,たとえば上級講座を無料で受けられるといった特典も与えられます。この点については,後ほど
「専門性」ということを取り上げるときに詳しくお話しいたします。
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