その辺を家族がご了解いただければ入院していただいてもいいと思うというお話もしています。
いちばん肝腎な告知に関しては,からだの調子が悪くなく,元気で自由に動けている間はいいのですが,だんだん病状が悪くなってきてあいまいな,オブラートで包んだような会話しかできないような状況になったときに患者さんを孤独にしてしまうことがありますので,本人に「知りたい」という気持ちがあるならば,お知らせしたほうがいいのではないかということで,お知らせする方向で話しています。実際には,お知らせを何もしないままでも,安らかに亡くなられることはもちろんあります。本人が知りたいとあまり望んでいなくても悟っておられたとか,口にするまでもないとか,いろいろなケースはあります。
さまざまな入院の動機
どういう目的でホスピスに入院するかということに関しては,もう最後の場所なのだから,身の回りの整理をして死に場所という思いで入院相談に来られたり,実際に入院してくる方もあるのですが,決して最後の場所ということではないということはお話しします。入院の目的には,一つはいまある不快な症状をなるべく上手にマネージメントして,軽くして,また日常生活,家庭の生活に戻られるようなら家にお戻りになるということです。
それから,家族が在宅の介護などで疲れてしまって,家族が休息をとるために,一時ホスピスをご利用いただくこともあります。先ほど日野原先生が話されたEさんのケースのように,自分で何かぜひやっておきたいことがあって,それを集中してやるのにはホスピスのような施設を利用したいという利用のしかた,あるいは,かなり厳しい状態になってきて,家で看取ることはむずかしい,あるいはそれまでの病院でというのがむずかしい場合においでになるということもできます。
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