病院の合理化策
では,医療者側はこの時代にあってどのような生き残り策を考えたのでしょうか。先の"ケアグループ"で見てみましょう。
まず第1に,病床数の大幅な削減です。これによって医師,看護婦,コメディカルなど医療スタッフおよび事務スタッフを減らすことができました。先ほどもいいましたが,ベス・イスラエル病院では400人のナースが不要になりましたし,コメディカルスタッフも配転やリストラがなされました。
第2に,全科を扱う外来棟と日帰りの外科外来をイーストキャンパスに新築しました。
外来棟にある日帰り手術棟は,手術部,術後の回復室,退院準備室の3部に区画されています。一般外科手術の80%は日帰り手術で行うことが可能となり,術後の患者は一定時間を術後の回復室で過ごすと,退院準備室に移りそこで在宅ケアのチームにバトンタッチされ,自宅におけるケアや注意事項などの教育を受けてその日のうちに退院していきます。
先に挙げた入院ベッド削減の政策と相まって,外来患者は大幅に増えました。これまで年間21万4,OOO人であったのが,外来棟をオープンしてからは35万人に増え,病院のシフト全体が大きく外来へ向けられるようになりました。
第3は,驚くほど充実した患者や家族のための学習センターを作ったことです。
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