聴講者のメモから
「自然保護と環境行政の方向」
○わが国の環境行政の歩み
・環境問題の顕在化=高度経済成長のひずみ 観光開発・過疎・過密。公害問題と自然破壊
・環境問題への対応の特徴=住民の告発→自治体の対応→国の対応
・環境庁の発足=昭和46年(1971)
規制法(公害基本法、自然環境保全法、大気汚染防止法、水質汚濁防止法、自然公園法等)の時代から住民、各種団体から保護のための運動への参加の時代へ
企業公害から生活公害へ 騒音、自動車公害等被害者も加害者も住民の時代
・多用化する環境問題 地球環境(酸性雨、熱帯林、野生動物の種の保存等)と国際的ひろがり(生
物多様性条約、世界遺産条約等)
・環境基本法と環境基本計画の制定(1993〜4)共生・循環・参加・国際がキーワード
○現在の動きと新たな展開の方向
・行政全体は地方分権と行政改革(省庁再編も)
・懸案=地球温暖化、環境ホルモン、環境アセスメント法 生物多様性の保全と自然とのふれあい
の確保→縦のつながりから横のつながりへ
目標=新しいライフスタイル、共生、保全型社会の構築→横軸は情報、アセス、参加、環境教育。
縦軸は生物
多様性と温暖化
課題=廃棄物問題C O P 3でのCO2削減への取り組み等
以上のような内容を、講師自身のこれまでの経験を元に展開された。とくに環境問題への取り組みにあたっては、国、行政の動きは自治体が引っ張り、自治体の動きは地方住民が引っ張るというのがこれまでの特色であったこと。また今後も基本的にはこの方向が環境行政の特質であろう。環境保全型社会の構築のためには市民住民のリードがどうあるかというところが非常におおきい。そういう動きのなかで決まっていくのではないか。そのためには意識の高揚が必要だが、環境教育も大きな課題である。今後環境省への移行が決まっているが、少ない人員と予算のなかではますます多様化する問題へ対応するために、全体としての仕組みをもっと変えていく必要があること、廃棄物の問題、化学物質(環境ホルモンやダイオキシン)や温暖化への取り組み等これからが正念場であること。そのために今後ともしっかり頑張っていきたいと結ばれた。
なお、わが国の環境行政の歩みについて、自然保護を中心とした年表的な資料を提供され、分かりやすく参考になった。