2−4−5 まとめ・考察/盲導犬の情報源に関する課題
(1)情報発信源としての盲導犬使用者・元使用者
盲導犬に関心を持つきっかけとなる情報源について、「盲導犬使用者」と「一般マスコミ」が高い割合を占めている。特に、盲導犬希望者の55.7%、一般の視覚障害者の58.5%は「盲導犬使用者」を情報源として挙げており、盲導犬使用者が情報発信源として大きな役割を果たしていることが明らかになった。
盲導犬使用者は、現在の盲導犬との生活に高い満足を示していることから、盲導犬の利便性や精神的な充足感などが情報として発信される可能性は高いと考えられる。また、一般の視覚障害者の中でも、盲導犬への関心を持った場合には、より詳しい情報を得るために盲導犬使用者や元使用者から話を聞く機会を持ちたいと考えている人も多いであろう。このような積極的な情報交換は盲導犬に関する理解促進のために有効ではあるが、広い範囲の視覚障害者を啓発していく上では、やや時間のかかる地道な方法であると思われる。
(2)広い情報発信による盲導犬理解促進の必要性
実際には、盲導犬使用者から直接話を聞く機会のある視覚障害者は限られていることから、盲導犬に関する正しい知識や理解を得ることのできずにいる人も多いと予想される。「盲導犬使用者」のほかに、「盲導犬訓練施設」「盲学校」「視覚障害者団体」「視覚障害福祉施設」なども視覚障害者にとっては直接話を聞くことのできる機関であるが、一般の視覚障害者の中でこれらを情報源としてあげた人はいずれも20%程度にとどまっている。
従って、盲導犬使用者との接触機会を持たない人に対し、マスコミや福祉事務所等行政機関、視覚障害の関連施設・団体などの各種機関は、盲導犬取得に関する事務手続きなどの情報だけでなく、盲導犬と暮らす生活が豊かなものであるというイメージ等についても、より積極的に伝達することがきわめて重要な役割になっていくと考えられる。こうした啓発活動は、一般社会における盲導犬に対する理解も促進し、視覚障害者が盲導犬と生活していくための社会環境を改善することにつながっていくものと言えよう。そのためにも、盲導犬の使用者および盲導犬事業の関係者は、一般マ
スコミや福祉関連マスコミ、各種福祉関連機関など情報発信機関に対する適切な情報の適宜提供と、情報発信を促進する努力が必要となるであろう。
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