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はじめに
 本調査報告書は、日本財団の調査研究事業により「盲導犬に関する調査」委員会が設置され、アンケート調査を実施し、その結果をまとめたものであります。
 我が国の盲導犬の普及については、先進諸国に比べ非常に遅れているのが現状です。現在国内で実働中の盲導犬は約800頭あまりで、その普及は僅かにすぎません。
 その要因として、盲導犬の繁殖・飼育体制や指導員・訓練士の養成体制の不備、財源確保の不安定性などが挙げられるとともに、最も基礎的な資料となる「盲導犬の需要」に関するデータが皆無という点などが考えられます。
 本調査は、このような盲導犬の普及・発展にかかわる問題を構造的に解明し、盲導犬とその事業の促進のための資料とすることを目的に、盲導犬訓練施設、盲導犬訓練士、盲導犬使用者、盲導犬元使用者、盲導犬希望者、一般視覚障害者に対してアンケートを実施しました。盲導犬に関する課題で、全国的にアンケート調査を実施したのは初めてといえることであり、意義深いものと考えております。
 調査の結果、盲導犬の普及と育成事業のあり方を考えていくうえで、供給体制の強化、盲導犬使用者の直面する問題点の解決、盲導犬使用を躊躇する視覚障害者への啓発、一般視覚障害者の盲導犬に対する関心の喚起、一般社会への盲導犬の理解の促進や盲導犬受け入れ体制の整備など、解決すべき問題が明らかにされました。今後、供給側・需要側の双方の視点からの盲導犬普及促進とその事業の有るべき姿について具体的に検討していくことが重要になっております。
 本調査の実施にあたりましては、全国の視覚障害者をはじめ関係施設ならびに各種団体の皆様方の多大なご協力を頂戴いたしました。その結果、短期間にもかかわらず、当初の予定を大幅に上まわる高い回収率となり、皆様の盲導犬に対する関心の高さを伺い知ることができました。これもひとえに委員をはじめ皆様方のご協力の賜と深く感謝し、この場を借りて御礼申し上げます。この調査の結果が、盲導犬の普及とその事業の発展の一助になることを祈念いたします。
 最後になりましたが、このような調査事業を取り上げてくださいました日本財団に対しまして、深く敬意を表しますとともに厚く御礼申し上げます。



平成11年3月   

日本財団 「盲導犬に関する調査」委員会

委員長 日比野 清   



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