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■事業の内容

最近の我が国周辺海域における海難の特徴を見ると、全般的には人為的要因によるものが依然として多く、全体の約70%を占めており、また、全要救助海難船舶隻数に占めるプレジャーボート等小型船舶の海難の割合は約30%となっている。
 海は、古来より人々の生活、交通、あるいは生産の場として広く利用され、我々は海から様々な恩恵を受け、深いかかわりを持ちながら今日の発展を遂げてきた。このように、我々の日常生活には欠かすことのできない海であるが故に、海難や海洋環境汚染等多くの問題を抱えている現実を見落とすことがあってはならない。
 そのためには、船舶を職業の場とするものなどに対し、海上交通の安全及び海洋環境保全問題に関し、国際的な動向を含めた最新の知見を広めるとともに、更に一般国民に対しても、海上安全及び海洋環境保全思想の普及と高揚を図ることが必要である。
 本事業はこのような状況を踏まえ、海難防止及び海洋汚染防止運動を、広くわが国の国民運動の一つとしてとらえ、国民の海上安全及び海洋環境保全に対する意識の高揚に寄与することを目的として下記のとおり実施した。
 [1] 海難防止キャンペーン
   海事関係者をはじめとし、広く一般市民の海難防止について関心を高め、理解を深めるため、海上保安庁、海上保安協会の協力を得ながら、関係団体の協賛を得て、官民一体となった海難防止キャンペーンを次のとおり実施した。   [1] 「海難防止のつどい」の開催
   a.開催月日  :平成9年7月24日 12時45分〜16時10分    b.開催場所  :巡視船(やしま)
   c.参加人員  :約500名
   d.実施内容  :a 巡視船やしまによる体験航海
            b 海・港・船などの説明・案内
            c 航空機、特殊救難隊員等による救難訓練展示
            d 救命・救難資機材の展示、説明、着用体験
   e.配布物   :a 海難防止用パンフレット(海難ゼロへの願い)
            b 「海と安全」7月号
            c 海難防止の集い(体験航海)スケジュール
            d その他(テレホンカード、防水バッグ、ボールペン)
  [2] 「全国海難防止協調運動推進大会」の開催
   a.開催月日  :平成9年7月24日 10時〜12時
   b.開催場所  :船の科学館オーロラホール
   c.参加人員  :250名
   d.実施内容  :a 全国海難防止協調運動用ポスター図案及びキャッチコピーの入選者の表彰式
            b 海難防止推進アピール
            c 落語(桂才賀)
            d 海上保安庁音楽隊による演奏会
   e.配布物   :a 海難防止用パンフレット(海難ゼロへの願い)
            b 「海と安全」7月号
            c 海難防止の集い(体験航海)スケジュール
            d その他(テレホンカード、防水バッグ、ボーペン)(屋外キャンペーン)
   a.開催月日  :平成9年7月24日 14時〜16時
   b.開催場所  :船の科学館屋外
   c.参加人員  :着席者150名の他プール来場者500名
   d.実施内容  :a 海難防止横断幕の掲示、パネル展示
            b 海上保安庁音楽隊によるコンサート
            c 海難防止推進アピール
   e.配布物   :a 全国海難防止協調運動アピールチラシ
            b 防水バッグ
 [3] 「海と安全コーナー」の実施
    第37回東京国際ボートショーの開催に合わせ「海と安全コーナーを開催し、海難防止、海洋汚染防止思想の普及活動を行った。
   a.開催月日:平成10年2月11日〜15日
   b.開催場所  :東京国際展示場(ビッグサイト)
   c.参加人員  :7,600名
   d.実施内容  :a ビデオの上映
            b パンフレット等の配布
            c 海難防止・海洋汚染防止パネル展示
            d 海難防止強調運動用ポスター入選作品の展示等
   e.配布物   :a 「海と安全」1月号
            b GMDSSパンフレットおよびリーフレット
            c 海洋汚染防止用パンフレット等
  [4] 全国海難防止強調運動実行委員会の開催
   a.実行委員会:2回
    a 第1回実行委員会:平成9年4月18日開催
     イ.全国海難防止強調運動実行委員会作業部会の設置及び実施業務について
     ロ.「全国海難防止強調運動推進大会・海難防止のつどい」実施計画(案)について
    b 第2回実行委員会:平成10年1月22日開催
     イ.平成9年度全国海難防止強調運動の実施結果について
     ロ.平成9年要救助海難発生状況について
     ハ.平成10年度全国海難防止強調運動の重点事項について
     ニ.平成10年度全国海難防止強調運動の実施計画について
   b.作業部会:2回
    a 第1回作業部会:平成9年4月22日開催
     イ.強調運動用周知リーフレットの作成について
     ロ.海難防止用パンフレットの作成について
    b 第2回作業部会:平成9年5月21日開催
      「海難ゼロへの願い」パンフレットの作成について
  [5] 海難防止強調運動の宣伝
    最寄りの本会会員に依頼して、宣伝カーを仕立てて船舶乗組員、港湾、漁業、プレジャーボート等の関係者及びその家族を対象に、次の11地区でそれぞれ3日間に渡って海難事故防止等を呼びかけた。
   a.網走地区
    a 実施日程  :7月22日〜24日
    b 宣伝実施経路:網走〜鱒浦〜卯原内〜能取〜常呂〜佐呂間〜斜里〜日の出〜宇登呂
   b.酒田地区
    a 実施日程  :7月16日〜18日
    b 宣伝実施経路:酒田〜鼡ケ関〜温海〜由良〜加茂〜吹浦
   c.千葉地区
    a 実施日程  :7月16日〜18日
    b 宣伝実施経路:千葉市〜船橋市〜市川市〜浦安市〜千葉市〜市原市〜君津市〜安房郡〜館山市〜安房郡
   d.尾鷲地区
    a 実施日程  :7月16日〜18日
    b 宣伝実施経路:尾鷲市北部〜海山町〜舟越〜伊勢町錦〜紀伊長島町〜尾鷲市南部〜城の浜〜古里〜三木里〜鵜殿村〜御浜町〜熊野市〜大泊〜新鹿
   e.高知地区
    a 実施日程  :7月16日〜18日
    b 宣伝実施経路:高知〜手結〜安芸〜奈半利〜甲浦〜佐喜浜〜三津〜高岡〜室戸〜宇佐〜須崎〜久礼
   f.松山・宇和島地区
    a 実施日程  :7月16日〜18日
    b 宣伝実施経路:広島港〜松山港〜松前港〜伊予港〜長浜港〜八幡浜〜三崎港〜八幡浜港〜三瓶港〜吉田港〜津島町〜宇和島港
   g.佐世保地区
    a 実施日程  :7月16日〜18日
    b 宣伝実施経路:佐世保市〜大村市〜平戸市〜長崎県佐々町

   h.境地区
    a 実施日程  :7月29日〜31日
    b 宣伝実施経路:境港市〜淀江町〜名和町〜赤碕町〜羽合町〜泊村〜気高町〜羽合町〜大栄町〜米子市〜松江市〜平田市〜松江市〜鹿島町〜島根町〜三保関町
   i.七尾地区
    a 実施日程  :7月23日〜25日
    b 宣伝実施経路:七尾〜輪島〜宇出津〜穴水〜能登島〜大泊
   j.油津地区
    a 実施日程  :9月17日〜19日
    b 宣伝実施経路:油津〜宮崎市〜佐土原町〜高岡町〜都城市〜三股町〜山之口町〜高城町〜串間市〜日南市〜南郷町
   k.沖縄地区
    a 実施日程  :7月16日〜18日
    b 宣伝実施経路:那覇市〜恩納村〜金武町
 [2] 海上安全・環境保全講習会
  [1] 海上安全巡回講習会
    海難防止および海洋環境の保全についての専門的知識を有する講師により資料・ビデオを活用して、海洋レジャー関係者、海運・漁業関係者およびその家族等を対象にした幅広く、きめの細かい広報活動を次のとおり全国の13地区49個所(参加人員1,884名)において実施した。
   a.釧 路
    a 開催場所、実施月日及び参加人員
     イ.浜 中   2月13日  23名
     ロ.昆布森   2月14日 120名 計143名
    b 対象者:漁船員とその家族
    c 指導班:佐々木信哉、戸島隆夫
   b.秋 田
    a 開催場所、実施月日及び参加人員
     イ.岩 館   9月24日  12名
     ロ.船 川   9月25日  33名
     ハ.金 浦   9月26日  22名
     ニ.本 荘   9月26日  15名 計 82名
    b 対象者:漁業関係者
    c 指導班:櫻井 修、加藤勇二、渡邊宗一、堀内義明
   c.塩 釜
    a 開催場所、実施月日及び参加人員
     イ.女 川   9月16日  28名
     ロ.桃 浦   9月17日  31名
     ハ.表 浜   9月18日  33名
     ニ.磯 浜   9月19日  28名 計120名
    b 対象者:沿岸漁業者
    c 指導班:廣瀬洋介、佐々木茂穂、山口雅弘
   d.木更津
    a 開催場所、実施月日及び参加人員
     イ.富 津  10月21日  33名
     ロ.富 津  10月22日  22名
     ハ.木更津  10月24日  22名
     ニ.木更津  11月11日  43名 計120名
    b 対象者:漁業関係者とその家族
    c 指導班:南 隆男、兼井謙一
   e.四日市
    a 開催場所、実施月日及び参加人員
     イ.香良洲   7月29日  43名
     ロ.津     7月30日  16名       
     ハ.河 芸   7月31日  21名
     ニ.桑 名   8月 1日 110名 計190名
    b 対象者:漁船乗組員及び家族、プレジャーボート関係者
    c 指導班:松原公男、岩崎昭男、松田信弘、内山茂也
   f.田 辺
    a 開催場所、実施月日及び参加人員
     イ.御坊市   8月 4日  40名
     ロ.田辺市   8月 5日  40名
     ハ.印南町   8月 6日  70名
     ニ.南部町   8月 7日 100名 計250名
    b 対象者:漁業、遊漁船関係者等
    c 指導班:塔本吉夫、西尾春基、荒尾孝史、喜多達也
   g.広 島
    a 開催場所、実施月日及び参加人員
     イ.沖美町  10月22日  35名
     ロ.能美町  10月23日  45名
     ハ.橘 町  10月24日  30名
     ニ.東和町  10月25日  30名 計140名
    b 対象者:漁業者
    c 指導班:徳永重典、中垣一三、沖本都保、高橋秀彰、豊田幹廣、伊東孝雄、上田滋史
   h.巌 原
    a 開催場所、実施月日及び参加人員
     イ.豊玉西部  9月17日  30名
     ロ.豆 酘   9月18日  26名
     ハ.一 重   9月19日  52名
     ニ.比田勝  10月24日  26名 計134名
    b 対象者:漁業者
    c 指導班:田中弘之、井上睦男、塘 信安、川上 勝
   i.長 崎
    a 開催場所、実施月日及び参加人員
     イ.長崎市  11月17日  36名
    ロ.加津佐町 11月18日  41名
     ハ.外海町  11月19日  55名
     ニ.三和町  11月20日  49名 計181名
    b 対象者:漁業者
    c 指導班:松木法明、丸山登四郎、横山信介、糸永浩一
  j.敦 賀
    a 開催場所、実施月日及び参加人員
     イ.敦 賀  12月16日  13名
     ロ.小 浜  12月17日  30名
     ハ.越 前  12月18日  45名
     ニ.三 国  12月19日  20名 計108名
    b 対象者:小安協関係者、マリーナ関係者、小学生、漁業組合員等
    c 指導班:古谷 均、田中 滋、内海宏幸、長谷川邦久
   k.伏 木
    a 開催場所、実施月日及び参加人員
     イ.黒 部   1月22日  76名
     ロ.魚 津   1月23日 110名
     ハ.岩 瀬   1月27日  40名
     ニ.新 湊   1月28日  49名 計275名
    b 対象者:漁業関係者及び海事関係者
    c 指導班:蔭田政宏、江口英雄、亀井一成、山本日出夫、藤井敬士、江戸 均
   l.古仁屋
    a 開催場所、実施月日及び参加人員
     イ.請阿室  11月29日  19名
     ロ.与 路  11月30日  16名
     ハ.瀬 相  12月 1日  27名 計 62名
    b 対象者:プレジャーボート所有者、漁業者、瀬渡船業者
    c 指導班:松原 悟、西 文久
   m.石 垣
    a 開催場所、実施月日及び参加人員
     イ.石垣島   7月24日   23名
     ロ.西表島   7月28日  21名
     ハ.小浜島  10月29日  20名
     ニ.与那国島 11月27日  15名 計 79名
    b 対象者:漁船、遊漁船、プレジャーボート関係者等
    c 指導班:古波蔵喜則、糸数竹進、川満栄良、吉田正義、徳山哲次、西平茂盛、澤口啓三、岡嵜 正、上里 隆
    なお、本年度までの会場安全巡回講習会開催累計は、974地区、3,952 個所、参加人員198,109名である。
  [2] 海洋汚染防止講習会
    船舶乗組員を対象に「海洋汚染防止に関する専門知識の周知及び海洋環境保全思想の啓蒙」をテーマとして、次のとおり6個所(参加人員613名)において開催した。
   a.清 水
    a 開催場所  :清水マリンビル
    b 実施月日  :平成9年11月 6日
    c 主な対象  :海事・港湾・防災関係者
    d 演題及び講師:
     イ.海洋環境保全と法規制について
               運輸省運輸政策局環境・海洋課海洋室専門官………………君塚秀喜
     ロ.船舶と海洋環境保全について
               運輸省海上技術安全局安全基準課補佐官……………………北 文雄
ハ.主な油等の流出事故と防除措置について
               海上保安庁警備救難部海上防災課企画係長…………………佐藤貴浩
     ニ.海洋汚染の現状と防止対策について
             第三管区海上保安本部警備救難部海上環境課国際汚染対策官…菅生 賢
     ホ.海洋汚染事故とその教訓
               清水海上保安部警備救難課長…………………………………宮里一敏
    e 参加人員:百七名
   b.半 田
    a 開催場所  :愛知県半田勤労福祉会館
    b 実施月日  :平成9年11月12日
    c 主な対象  :海事、漁業関係者
    d 演題及び講師:
     イ.海洋環境保全と法規制について
               運輸省運輸政策局環境・海洋課海洋室海洋汚染対策係……中津高行
     ロ.船舶と海洋環境保全について
               運輸省海上技術安全局安全基準課補佐官……………………北 文雄
     ハ.主な油等の流出事故と防除措置について
               海上保安庁警備救難部海上防災課防災係長…………………増田克樹
     ニ.海洋汚染の現状と防止対策について
               第四管区海上保安本部警備救難部海上環境課専門官………菅生 賢
     ホ.海洋汚染事故とその教訓
               衣浦海上保安署次長……………………………………………山梶 修
    e 参加人員:83名
   c.神 戸
    a 開催場所  :神戸中央港湾労働者福祉センター
    b 実施月日  :平成9年11月 7日
    c 主な対象  :港湾関係者
    d 演題及び講師:
     イ.海洋環境保全と法規制について
               運輸省運輸政策局環境・海洋課海洋室専門官………………麻岡秀行
     ロ.船舶と海洋環境保全について
               運輸省海上技術安全局安全基準課企画第一係長……………竹内智人
     ハ.海洋汚染の現状と防止対策について
海上保安庁警備救難部海上環境課国際係長…………………福山孝輝
     ニ.主な油等の流出事故と防除措置について
              第五管区海上保安本部警備救難部海上災害対策室対策係長…伊藤敦史
     ホ.海洋汚染事故とその教訓
               神戸海上保安警備救難課長……………………………………中山 泰
    e 参加人員:152名
   d.宇和島
    a 開催場所  :愛媛県八幡浜庁舎
    b 実施月日  :平成9年10月15日
    c 主な対象  :宇和島地区大量流出油災害対策協議会会員・海上環境推進員
    d 演題及び講師:
     イ.海洋環境保全と法規制について
               運輸省運輸政策局環境・海洋課海洋室補佐官………………西田浩之
     ロ.船舶と海洋環境保全について
               運輸省海上技術安全局安全基準課専門官……………………藤里宜丸
     ハ.海洋汚染の現状と防止対策について
               海上保安庁警備救難部海上環境課指導取締係長……………渡邉保範 
     ニ.主な油等の流出事故と防除措置について
               第六管区海上保安本部警備救難部救難課海上防災課係長…能勢 誠
     ホ.海洋汚染事故とその教訓
               宇和島海上保安部警備救難課長………………………………吉竹孝仁
    e 参加人員:80名
   e.長 門
    a 開催場所  :長門市物産観光センター
    b 実施月日  :平成9年 9月25日
    c 主な対象  :地方自治体・海事・漁業関係者
    d 演題及び講師:
     イ.海洋環境保全と法規制について
               運輸省運輸政策局環境・海洋課海洋室海洋汚染対策係……中津高行
     ロ.船舶と海洋環境保全について
               運輸省海上技術安全局安全基準課企画第二係長……………松尾真治
     ハ.海洋汚染の現状と防止対策について
               海上保安庁警備救難部海上環境課外国船舶取締係長………鹿田貴嗣
     ニ.主な油等の流出事故と防除措置について
               第七管区海上保安本部警備救難部救難課防災業務係長……田口治一
     ホ.海洋汚染事故とその教訓
               仙崎海上保安警備救難課長……………………………………平松勝昭
    e 参加人員:86名
   f.境 湊
    a 開催場所  :境湊流通会館
    b 実施月日  :平成10年 2月13日
    c 主な対象  :市町村、漁業機関、油槽所、造船、鉄工所、港湾関係小型船関係等
    d 演題及び講師:
     イ.海洋環境保全と法規制について
               運輸省運輸政策局環境・海洋課海洋室専門官………………麻岡秀行
     ロ.船舶と海洋環境保全について
               運輸省海上技術安全局安全基準課企画第係………………中澤文宏
     ハ.主な油等の流出事故と防除措置について
               海上保安庁警備救難部海上防災課企画係……………………田中裕二
     ニ.海洋汚染の現状と防止対策について
               第八管区海上保安本部警備救難部警備課海上環境係長……鈴木基則
     ホ.海洋汚染事故とその教訓
               境海上保安署警備救難係長……………………………………榎本猶一
    e 参加人員:105名
  [3] 海難防止訪船指導
    日本沿岸、瀬戸内海及び本土と離島を結ぶカーフェリー及びジェットフォイルにアドバイザーを派遣して実施した。実施に当たっては、委員会を設けて訪船指導の基本計画、基本項目等を決定し、実施した。
   [1] 委員会の開催
     委員会を2回開催し、次の事項を検討した。
    a.第1回:平成9年4月23日開催
     a 委員長の選出
     b 本年度事業計画(訪船指導航路、対象船舶)について
     c 平成9年度の指導重点項目について
     d 「安全運航確認項目〈H−V〉」の見直しについて
    b.第2回:平成10年2月18日開催
     a 平成9年の旅客航路事業における旅客船事故発生状況について
     b 平成10年における旅客船の安全対策について
     c 「安全運航確認項目〈H−V〉」の見直しについて
     d 本年度実施した旅客船等訪船指導の総合所見について
     e 本年度事業の報告書(案)について
   [2] 訪船指導
    a.第1回旅客船等訪船指導委員会及び訪船アドバイザー打合せ会議を開催し、本年度の海難防止訪船指導事業計画(訪船航路及び対象船舶=11航路11隻)を決定し、あわせて本年度の訪船指導等の重点事項を下記のとおり決めた。
     a 着岸時等に過度な動揺・衝撃を生じさせない慎重な操船と動揺等による転倒事故防止。
     b 乗客及び車両の安全な乗下船作業の徹底、特に積載車両関係事故の防止(運航管理規程に定める各作業基準の遵守)
     c 高速船の夜間運航時における安全運航の確保特に、見張りの適切な実施(目視、レーダーの活用等)、狭水道、沿岸航行時の適切な航法(位置の確認、避険線及び向首目標の活用等)、これらにおける船橋内当直者の連携動作(役割分担、報告、指示等)
    b.下記のとおり11社、11航路、11隻の訪船指導を実施した。
     a 阪九フェリー(株)
      イ.実施日   :平成9年 6月 2日〜 4日
      ロ.実施航路  :泉大津〜新門司
      ハ.船種・船名  (総トン数):カーフェリー・ニューあかし(14,988トン)
      ニ.指導員   :佐藤尚登、成田一郎
     b (財)静岡県総合管理公社
      イ.実施日   :平成9年10月19日
      ロ.実施航路  :清水〜下田
      ハ.船種・船名  (総トン数):テクノスーパーライナー・希望(2,785トン)
      ニ.指導員   :上瀧昭六・河野善一
     c 加藤汽船(株)
      イ.実施日   :平成9年10月20日〜21日
      ロ.実施航路  :大阪天保山〜高松
      ハ.船種・船名  (総トン数):高速船・ジェト7(279トン)
      ニ.指導員   :佐藤尚登、成田一郎
     d (株)ダイヤモンドフェリー
      イ.実施日   :平成9年 6月18日
      ロ.実施航路  :伊予〜大分
      ハ.船種・船名  (総トン数):高速船・スピーダー(375トン)
      ニ.指導員   :鈴木三郎・古荘雅生
     e 共同汽船(株)
      イ.実施日   :平成9年 7月 3日
      ロ.実施航路  :大阪〜洲本
      ハ.船種・船名  (総トン数):高速船・アクアジェット・スーパー1(183トン)
      ニ.指導員   :橋本 進・岡部光邦
     f 徳島高速船(株)
      イ.実施日   :平成9年 6月 5日
      ロ.実施航路  :和歌山〜徳島
      ハ.船種・船名  (総トン数):高速船・ソレイユ(297トン)
      ニ.指導員   :森島清忠・夏目志津馬
     g 大阪高知特急フェリー(株)
      イ.実施日   :平成9年 7月 2日〜4日
      ロ.実施航路  :大阪南湊〜高知
      ハ.船種・船名  (総トン数):カーフェリー・ニューかつら(6,772トン)
      ニ.指導員   :上瀧昭六・田中郷吉
     h 川崎近海汽船(株)
      イ.実施日   :平成9年11月14日〜15日
      ロ.実施航路  :八戸〜苫小牧
      ハ.船種・船名  (総トン数):カーフェリー・シルバークイーン2(4,821トン)
      ニ.指導員   :鈴木三郎・古荘雅生
     i 四国開発フェリー(株)
      イ.実施日   :平成9年 9月25日〜26日
      ロ.実施航路  :大阪南港〜東予
      ハ.船種・船名  (総トン数):カーフェリー・おれんじ(9,917トン)
      ニ.指導員   :橋本 進・清田兼雄
     j マリックスライン(株)
      イ.実施日   :平成9年 9月29日〜10月 2日
      ロ.実施航路  :鹿児島〜奄美〜沖縄
      ハ.船種・船名  (総トン数):カーフェリー・クイーンコーラル(4,924トン)
      ニ.指導員   :河野善一・笠原信雄
     k 呉・松山フェリー(株)
      イ.実施日   :平成9年 7月24日
      ロ.実施航路  :阿賀〜堀江
      ハ.船種・船名  (総トン数):カーフェリー・かめりあ(639トン)
      ニ.指導員   :藤村郁二・村嶋 仁
   [3] 報告書の作成
    a.部 数:50部
    b.配布先:委員会及び関係官庁等
   [4] 会議の開催
     旅客船訪船指導委員会・訪船アドバイザー打合わせ会議 2回
  [4] 海と安全の発行配布
    編集に当たっては、一般読者へも配慮し、掲載記事等が専門的に偏らないよう注意するとともに読者のニーズに合わせ当協会の独自の取材活動を強化し、更に全国各地から原稿を募集し、掲載内容の大衆化と多様化を推進させながら、海難防止及び海洋汚染防止に関する思想を海事関係者、一般国民等に普及させるために次のとおり作成配布した。
   [1] 記事の内容  :海難事故例、調査研究事業等の成果、海難防止に関する知識、最新の情報  
             及び有識者の意見等海難防止思想の普及に役立つ記事を掲載したもの。
   [2] 体    裁:B5版、オフセット印刷、24ページ、表紙4色刷
            なお、5、11、2月の各号は記事が多く28ページで発行した。
   [3] 配布先   :船舶乗組員、関係官庁、関係団体、海運、造船、保険、港湾、水産、教育関係機関、その他一般国民等
   [4] 発行回数  :4月号〜3月号、各1回 計12回
   [5] 発行部数  :1回 6,200部×12回  合計74,400部
   [6] 取    材:
     「海と安全」をより身近なものにするため次のとおり取材した。
    a.観音崎で戦没殉職船員追悼式を取材(6月号掲載)
    b.当協会平成9年度通常総会を取材
    c.平成9年度全国小型船安全協会連絡会取材
    d.平成9年度海難防止等調査研究団体連絡調整事業事務連絡回を取材
    e.全国海難防止強調運動推進大会及び海難防止のつどい(船の科学館)を取材
    f.客船おがさわら丸(東京港)
■事業の成果

[1] 海難防止キャンペーン
   わが国にとって、海は、海運、水産、レジャー等に幅広く活用されており、そこでは多種多様の船舶が活動している。このため船舶所有者、乗組員等のいわゆる海事関係者だけではなく、プレジャーボート利用者をはじめとする一般市民に対しても海難防止についての関心を高め、理解を深める用働きかける必要がある。本事業は昭和59年度から官民一体となった全国運動として展開しているが、中央の実施体制の強化、地方における本運動推進の核となる推進連絡会議が活躍するなど、本運動の土台となる組織づくりに大きな成果が得られている。
   また、巡回広報、海上安全教室、各種訓練、行事等を全国各地で展開し、海事関係者だけでなく、一般市民に対しても海難防止思想の普及、高揚に多大な効果がある。
   特に、本運動の一環として開催している「海難防止のつどい」は平成2年の第1回から8回を数え一般市民に海難防止の運動を浸透させた。また、ポスター図案及びキャッチコピーの応募総数は、ポスター図案の658点、キャッチコピーは9,765点と激増した。このことは本運動が徐々に一般国民にも浸透して、その関心が高いことが現れているものと思われる。
   また、「海と安全コーナー」は、東京国際ボートショーの中で開設しているが、本年は総入場者数160,629名と、長野オリンピックや悪天候の影響などで前年172,000名に比べわずかに減少しているもののマリンレジャーに関する人々の関心は、依然として高い。その中で、約7,600名の人々が当コーナーに立ち寄り、配布しパンフレットや展示物等により海上安全についての認識を新たにしたと考えられる。従来のレジャーのみに目を向けていた来場者に対し、海難防止・海洋汚染防止思想に目を向けさせた効果は大きい。
   今後、「海難防止のつどい」「全国海難防止強調運動推進大会」及び「海と安全コーナー」は更に内容を充実させ、継続実施したいと考えている。これらの運動は、海への指向が増大する中で、海の知識と海上安全思想を高める上で、時宜を得たものとして関係官庁はもとより、海事関係者等から高い評価を得ている。
   なお、本運動に用いるポスターの図案及びキャッチコピーの公募を行い、全国の海事関係者はもとより、一般家庭の主婦あるいは小中学生から多数の応募を得て、本運動に対する関心を高めることができた。
 [2] 海上安全・環境保護講習会
  [1] 海上安全巡回講習会
    一般に小型船は、安全に対する各種の情報の入手が困難であり、気象・海象をはじめ安全確保のための諸対策、処置に具体的な知識を得にくいというのが現実であり、さらに堪航性の判断の不十分、安全運航に関する技術や知識の低いこと、また一面、運航形態の特殊性などもあって海難事故も多く発生している。
    この講習会は、交通不便な沿岸の辺地で働く人々及びその家族等の関係者を対象として巡回車を利用し、海難防止に関するビデオ、スライドによる視聴覚面からの指導を主体として、海難防止に関する知識を反復啓発しているが、文書等による単なる注意喚起の呼びかけに比べ、膝を交えて行う本講習会では、身近な海難の実例をもとに事故に対する反省とその対策を再認識させるうえで見るべきものがあり、質疑応答に対してもその場において直接安全上のポイントを具体的に説明、指導することができ、船舶乗組員はもとより関係者の海難防止に対する自覚を高め、理解を深めることにより海難の減少が期待される。
    なお、現地漁民、海洋レジャー関係者との直接の接触、対話の経験等を今後の海難防止の立案等に反映される予定。
  [2] 海洋汚染防止講習会
    海洋汚染の防止を徹底するためには、その主たる原因者となる船舶乗組員及びその関係者に大して、繰り返し関係法令等の周知を行う必要がある。
    このような観点から、船舶乗組員等を対象とした講習会を全国6個所で開催した。船舶乗組員等を対象とした講習会は、「海洋汚染防止に関する知識、思想の周知、啓発」をテーマに関連保冷の周知徹底及び各地域における海洋汚染防止行政の現状を説明し、海洋汚染防止に関する知識、思想の周知、啓発に多大な効果を上げた。
    本講習会は、各開催地において多数の受講者がみられ、海洋環境保全思想の普及と高揚を図るうえで大きな成果を収めていると思われる。
 [3] 海難防止訪船指導
   本事業は、当初の目的としたカーフェリーに重点を置きつつ、最近の就航船舶の状況を勘案して、対象をカーフェリー以外の高速船、水中翼船にも拡大し、時代のニーズにマッチした訪船指導を行うこととした。
   カーフェリーは多数の乗客と自動車を同時に輸送するため、一端事故を起こすと悲惨な災害に結びつくことになるが、安全運航を阻害する数々の問題点も指摘されている。
   即ち、カーフェリーを含め旅客船等は同一航路の反復という特性から、いわゆる“慣れ”による安全運航軽視の状況に陥りやすいこと、また、特に東京湾、瀬戸内海については船舶が輻輳し航海環境がここ数年悪化の一途を辿っていること、違法航行船舶の存在等がカーフェリーの安全運航を著しく阻害している。
   そこでアドバイザーが旅客船並びにカーフェリーの通常運航時に乗船して、安全運航を阻害擦る問題点を実地に見聞し、安全運航の基本の見直しを行い、さらに乗組員との意見交換により、広い見地にたって実情を把握し、現状に即した有益な示唆を与え、旅客船等の海難の未然防止に良好な成果を上げている。
   本事業は、アドバイザーが乗組員に対し、直接安全運航の調査並びに確認をし、必要ならば安全運航に関する改善の助言を行うことにより、また、運航管理者に対しては運航管理の改善を助言することにより旅客船等の安全運航に寄与するものと考えられる。
   なお、本年は次の訪船指導重点事項に従って、指導の強化が図られ、その成果があった。
  [1] 着岸時等に過度な動揺・衝撃を生じさせない慎重な操船と動揺等による転倒事故防止
  [2] 乗客及び車両の安全な乗下船作業の徹底、特に積載車両関係事故の防止(運航管理規程に定める各作業基準の遵守)
  [3] 高速船の夜間運航時における安全運航の確保特に、見張りの適切な実施(目視、レーダーの活用等)、狭水道、沿岸航行時の適切な航法(位置の確認、避険線及び向首目標の活用等)、これらにおける船橋内当直者の連携動作(役割分担、報告、指示等)
 [4] 海と安全の発行配布
   海難及び海洋汚染を未然に防止するための思想と高揚と普及を図るには、船舶乗組員はじめ広く関係者を対象に、絶え間ない呼びかけが重要であり、その手段の一つとして「海と安全」の発行配布は有効である。
   本事業では、最近の海難事例の教訓や航行の安全を向上させるための航海計器等の発達の模様を分かり易く特集して、海の関係者に対する海事思想等の周知徹底を図る上で大きな役割を果たしている。
   平成10年は、創立40周年を迎えるが、これを機に、より一層の内容の充実に努力し、海難防止と海洋汚染防止に貢献すべく取り組んでいる。
 [5] 周知宣伝用教材等の作成・配布
  [1] 海洋汚染・海上災害の防止の手びきの作成配布
    海洋汚染防止及び海上災害の防止に関する法律のあらまし、関係法令、油、有害液体物質の取扱と流出油等の処理、廃棄物の取り扱いについて分かり易く開設した。
    本書は、海洋汚染防止講習会の教材として活用し、海洋環境の保全思想の高揚に大いに役立っている。
  [2] 絵で見る教本(みんなで守ろう川と海)の作成・配布
    「人間と海との関わりあい」をテーマに小中学生向きの「みんなで守ろう川と海」を作成し、各管区海上保安本部の海の安全教室、海難防止のつどいなどを通じて広く一般に配布し、海洋汚染防止運動に対する関心を大いに高めた。
  [3] パンフレットの作成配布
    「マリンレジャーを楽しむために」をテーマに一般大衆向きの海洋汚染防止に関する関係法令を簡易に説明したパンフレット「きれいな海でマリンレジャーを楽しく」を作成し、海洋汚染防止講習会の教材として使用したほか、各管区海上保安本部、日本船舶職員養成協会、小型船安全協会等を通じて広く一般に配布し、海洋汚染防止運動に対する関心を大いに高めた。
  [4] 海洋環境保全イメージグッズの作成配布
    クリアケースに子供向け楽しいイラストと「あなたです。美しい海を守るのは」を刷り込んだ物品を作成し、各管区海上保安本部の海の安全教室、海難防止のつどい等を通じても配布し、子供たちの海洋汚染防止思想の普及に大いに役立った。
  [5] ビデオの制作、同プリントの作成・配布
    委員会におけるデモテープの試写において、教育用資料として非常に有益であるとの評価を得た。なお、東京国際ボートショー会場における試写も来場者に好評を博し、プレジャーボートの海難防止の周知啓発に役立った。





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