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■事業の内容

当財団は高齢者・障害者が安全かつ円滑に利用できる公共交通機関の実現を目指し、高齢者・障害者の移動円滑化に関する周知宣伝事業を行うとともに、施設整備推進のため鉄道事業者等に対する補助金・助成金交付事業を実施するほか、高齢者・障害者を含めた全ての人にやさしい交通施設や交通体系のあり方に関する調査研究事業を行うこととしている。平成9年度においては、これまで3か年計画で実施してきたアメニティターミナルにおける旅客案内サインの研究及びアメニティターミナルにおける駅用エレベーター設備の研究・開発について、最終年度の調査研究を進めることにより、人にやさしい交通施設の整備に寄与することを目的として、次のとおり実施した。
 [1] アメニティターミナルにおける旅客案内サインの研究
  [1] 旅客案内サインの計画手法
   a.ビジュアル・サインシステムの体系化
   b.聴覚案内の計画手法
   c.触覚案内の計画手法
   d.人的サービスの計画手法
  [2] モデル駅における旅客案内サイン導入計画
   a.モデル駅で提供する情報内容
   b.モデル駅における視覚情報・聴覚情報・触覚情報の表現
   c.モデル駅における情報提供の空間上に占める位置
  [3] 旅客案内サインの管理手法
   a.情報内容の更新方法
   b.情報提供設備の維持管理方法
   c.他の情報媒体との整合方法
 [2] アメニティターミナルにおける駅用エレベーター設備の研究・開発
  [1] 開発エレベーターの設置及び評価
   a.開発エレベーターの試験及び評価
   b.開発エレベーターの駅への設置
   c.開発エレベーターの評価
  [2] 施工に関する調査研究
   a.鉄骨パネル構造化エレベーターシャフトの試験及び調査
   b.エレベーターシャフトの駅への設置
   c.エレベーターシャフトの評価
  [3] 基準・規定等の配慮事項の調査研究
  [4] 維持・管理に関する課題の整理
  [5] 駅用エレベーターの設置に関する課題の整理
■事業の成果

我が国おいては高齢者社会の進展や障害者の社会参加の促進に伴い、高齢者や障害者等移動制約者の公共交通機関を利用する機会が次第に増えてきている。しかしながらターミナル駅における案内サインについては各鉄道事業者に独自の案内サインの掲出区域と商業広告掲出のスペース上の競合があり、移動制約者に対する旅客案内サインについては、検討課題となっていた。又、駅舎等の垂直移動設備の整備は依然として遅れており、特に既存駅では従来型のエレベーターでは設置場所や設置コストがネックとなっており設置が遅れているのが現状であった。

 本研究調査の成果として、移動制約者にとって鉄道駅が備えるべき都市内主要情報を含めて提供する手法について、平成9年度報告書(交通拠点のサインシステム計画ガイドブック)を提供することができたことにより、健常者に対する視認性の改善、及び視覚・聴覚及び歩行等の障害による移動制約者に対しても各種案内手法の最適化への実現性が期待される。又、省スペース、低コストで設置できる駅用エレベーターの設備の研究・開発により、試作実機エレベーターをモデル駅に設置して、利便性・安全性等をはじめとする各種評価等を行い、実りのある成果を納めることができ、今まで設置が困難であった既設の鉄道駅においても、今後この開発エレベーターが多くの駅に設置されることが期待される。これらの研究調査により、高齢者・障害者等の移動制約者の外出が更に容易になることが期待できる。





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