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■事業の内容

国連危険物輸送専門家委員会は、危険物輸送に係る基本的要件(危険物の定義・分類、容器基準、評価試験方法及び判定基準等)について検討を行っている。同専門家委員会で決定された基準等は国連勧告としてまとめられ、これが海上運送をはじめとした各輸送モードの国際運送基準(海上運送においてはIMOのIMDGコード)に取り入れられている。このような背景から、同専門家委員会に対処するための委員会を開催し我が国意見の集約への協力、また、専門委員の派遣により必要な情報を収集すると共に我が国意見の反映を図ることを目的として本事業を実施した。
 本年度事業の概要としては、国連危険物輸送専門家委員会(国連委員会)第13回小委員会及び第14回小委員会における検討課題全般について、危険物輸送国連対応家委員会(国連対応委員会)、同第一部会並びに同第二部会及び関係作業部会を開催して検討し、国連委員会の議題中「反応性物質の危険性評価試験としての圧力容器試験の策定」については、平成7年第10回小委員会で採択された我が国提案がオランダとの共同研究の形で本年及び来年度の2年間の継続審議となり、今年度もその研究を継続している。
 また、本年度は、第14回小委員会へ、有機過酸化物化学名新規物質の追加提案を行った。
 [1] 委員会の開催(国内)
  [1] 危険物輸送国連対応委員会
   委員構成:学識経験者9名、関連業界実務者6名及び官庁関係者10名(合計:25名)
  [2] 危険物輸送国連対応委員会第一部会圧力容器試験部会
   委員構成:学識経験者2名、関連業界実務者7名及び官庁関係者7名 (合計:16名)
  [3] 危険物輸送国連対応委員会第二部会
   委員構成:学識経験者1名、関連業界実務者17名及び官庁関係者8名(合計:26名)
 [2] 国連委員会への対処(海外)
   国連委員会第13回及び第14回小委員会には、国際基準に関連して国連対応委員会の検討結果である対処案に基づき各種案件について我が国の意向を表明するとともに国際的動向の調査及び関係者との意見交換を行った。
   なお、上記有機過酸化物化学名新規物質に関するわが国提案に関しては、EFFIC(欧州化学工業連合会議)から、次回第15回小委員会に別途新規有機過酸化物化学名を提案するので併せて審議したい旨の要望が出され、わが国はこれを了承したため次回継続審議となっている。
  [1] 出席会議名
   国連危険物輸送専門家委員会第13回及び第14回小委員会
  [2] 派遣場所
   ジュネーブ国連欧州本部
  [3] 派遣期間(開催期間)
   第13回小委員会:平成9年7月7日〜18日
   第14回小委員会:平成9年12月8日〜19日
  [4] 派遣員
   国連危険物輸送専門家委員会委員:八十三 欣勇((社)日本海事検定協会)
  [5] 審議内容
    危険物の定義及び容器包装等を定めた「危険物輸送に関する国連勧告」第11版策定に関する事項及び持続可能な開発を実現するための国際的合意(UNCED Agenda 21)に基づく「化学品の分類及び標札に関するシステムの国際統一」に関する事項
■事業の成果

[1] 本事業の成果
   国連危険物輸送専門家委員会は、日本、欧州主要国、米国等をはじめとする21カ国及びIMO(国際事海機関)、ICAO(国際民間航空機機関)、IAEA(国際原子力機関)等国際機関が参加し、各運送モードに共通な危険物輸送に関する国際基準を策定している。従って、危険物の国際海上運送基準に直接わが国意見を反映することは、わが国の危険物海上輸送に係わる主管庁及び関係業界にとって極めて重要なことと認識されている。本事業においては、国連危険物輸送専門家委員会の検討課題を討議し日本提案を策定することを目的として危険物輸送国連対応委員会を設置しこれに対応している。本年度の2回にわたる国連委員会の各種検討課題に対応するとともに平成7年度日本提案として「反応性物質の危険性評価試験としての圧力容器試験の策定」を提案し採択され、その後オランダとの共同提案の形となり、来年度に最終的な新国連圧力容器試験法を策定提案するべく検討中である。
   また、本年度は、わが国において管海官庁の許可を取得して既に輸送を行っている新規有機過酸化物の化学名リストへの追加提案を行っている。

   これらに加えて、危険物輸送に関する国際舞台における動向を調査し危険物の海上輸送関係官庁及び関係業界に貴重な情報を提供することができた。

   これら本事業の国際的活動は、結果として我が国の危険物海上安全運送基準の策定にも貢献した。





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