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■事業の内容

木材の大量消費による地球の環境破壊が問題となっている現状において、FRP船建造の第一段階であるFRP船体成形用型の製作に用いる木材の消費量は、同型の木造船を建造するとほぼ同量の木材を消費し、FRP船体成形が終わり次第その大部分は廃棄されている。また、近年、FRP船建造業界では、現図工及び木工技術者の高齢化と後継者不足が、現図の作画及び現図の板取りから始まるFRP船体成形用型の作製工事の隘路となっており、これが、今後のFRP船建造事業の継続に影響を与える大きな問題となっている。
 この事態を改善するため、パラフィン複合剤をFRP船体成形用型の素材とすることによりリサイクルを可能とし、木材の省資源化を目指し、地球環境に優しいFRP船の建造プロセスとすることができる。
 また、船型データが入力された三次元NC模型船削成機により、パラフィン複合剤のFRP船体成形用型を削り出す方式を開発することで、現図の作画及び現図の板取りから始まるFRP船体成形用型作製作業が不要となり、現図工及び木工技術者の不足により生ずる問題点が解決される。こうしたことにより建造コストの削減、工期の短縮、FRP船建造造船所の経営基盤の強化のため、以下の事業を実施した。
 [1] 機能設計/試設計/検証
   委員会を開催し、リサイクル可能なパラフィン複合剤によるFRP船体成形用型開発に係る調査研究を実施し、試作装置を開発、検証を行った。
  [1] 組立式スチール製型枠ケースの設計検討、製作
  [2] 船型データ作成プログラム及び三次元NC削成機の機能検証
  [3] パラフィン表面FRP積層時の調査、対策検討
  [4] パラフィン製船体成形型の試作による製作方法及び製作精度の検証
 [2] FRP船体成形用型開発委員会
             開 催 日       場  所
  [1] 第1回委員会 平成9年 5月28日  日本鋼管津製作所 会議室
  [2] 第2回委員会 平成9年 9月12日  日本鋼管津製作所 会議室
  [3] 第3回委員会 平成9年12月17日  日本鋼管津製作所 会議室
  [4] 第4回委員会 平成10年2月26日  日本鋼管津製作所 会議室
■事業の成果

本事業は、委員会を設置し、リサイクル可能なパラフィン複合剤によるFRP船体成形用型の開発を目途に組立式スチール製型枠ケースの設計検討、製作/船型データ作成プログラム及び三次元NC削成機の機能検証/パラフィン表面FRP積層時の調査、対策検討/パラフィン製船体成形型の試作による製作方法及び製作精度の検証を実施し、試作装置を開発、実船を建造して検証を行った。

 その結果、今般のパラフィン製の船体成形用型の開発は、今後のFRP造船所における技術/技能の革新・設計/製作設備の削減・人材不足の解消・後継者育成等の面で、大きく貢献できるとともに、FRP船建造造船所の経営基盤の強化に寄与することができたものと確信する。





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