■事業の内容
ジェット・フォイルが我が国に導入されて約20年経過し、ジェット・フォイルの検査と共にガスタービン・エンジンの検査が行われて来た。ガスタービン・エンジンの整備は今までの実績を踏まえた上、将来どのように在るべきかを海外及び国内の整備実態を調査して整備基準のための資料を作り、安全な整備と船社の安定した経営に寄与することを目的とし、ガスタービン・エンジンの整備の範囲について実態調査の上、開放検査の範囲及び整備の間隔等の合理的な評価並びに舶用ガスタービン・エンジンの整備に関する安全性に対する評価を行うため、下記のような調査を行った。 [1] 調査事項 [1] 各社ジェット・フォイル保有状況・就航航路調査 [2] 整備状況調査 [3] ガスタービン・エンジン事故調査 [2] 現地調査 委員長、事務局、関係希望委員よりチームを作り、ヒヤリングを含む実態調査を行った。 [1] 国内 a.佐渡汽船株式会社及び海上アクセス株式会社等の運航実態、整備環境及び施設等の調査 b.川崎重工業株式会社(川重ジェイ・ピイ・エス株式会社)、三菱重工業株式会社(名古屋誘導推進システム製作所)の整備施設状況等の調査 [2] 海外 a.香港 a 調査先 Far East Hydrofoil Co., Ltd. b 調査期間 平成9年11月16日(日)〜11月18日(火) c 調査員 古川原芳明(佐渡汽船株式会社 高速船部長)長谷川康夫(川重ジェイ・ピイ・エス株式会社 技術部企画部長)安部信之(日本船舶品質管理協会 上席技師) d 調査内容 ジェットフォイル運航実態と整備状況 b.米国 a 調査先 イ.National Airmotive CORR ロ.Allison Engine Company b 調査期間 平成9年12月7日(日)〜13日(土) c 調査員 田川正洋(川重ジェイ・ピイ・エス株式会社)古郡秀一(三菱重工業株式会社 名誘製作所品証課)岩下雅彦(佐渡汽船株式会社 整備技術課長)安部信之(日本船舶品質管理協会 上席技師) d 調査内容 イ.ガスタービン・エンジンの整備状況 ロ.ガスタービン・エンジンの製造状況と設計に関する意見及び整備に対するメーカーの考え方等
■事業の成果
国内のジェット・フォイル運航会社2社における運航と整備実績及びガスタービン・エンジン整備会社2社の整備内容について調査するとともに、海外では、本邦の総隻数に匹敵するジェット・フォイルを擁する香港のF.E.H.社における運航と整備実態、また米国におけるガスタービン・エンジンの普及状況とその整備について、更に、ジェット・フォイル用ガスタービン製造会社の現状と設計についての考え方、整備に関する意見等、貴重なデータを調査することができた。 これらの調査結果により、現在ジェット・フォイルに使用されているガスタービン・エンジンは、陸舶用として多くの実績を有する優れたガスタービンであることが確認された。 また、その整備実態についても、製造会社がオーソライズした直属のメンテナンスセンターとして機能している本邦の整備会社2社の在り方も十分信頼できるものと理解された。 一方、香港のF.E.H.社にあっては、会社独自に工夫を重ね、有意義な整備体制と運航に対すに有効なオペレーティングを見るに至り、その努力と機能的な整備が有効に働いているものととらえることができた。これは、ジェット・フォイル用ガスタービン・エンジンの整備の在り方に対する一つの方法として見ることが出来よう。 今回の調査結果は、適切な整備と保守管理がなされると、20年以上にわたって同じガスタービンが十分な信頼性をもって使用できることが実証されていることが分かった。 その信頼性を維持するためのHSI/TBO整備実態を国内外で比較すると、国内の検査及び整備の間隔が海外に比べて比較的短く、本邦の整備方式が厳しいようにも見える。 しかし、本邦の運航状況が海外のものと異なっており、また、国内各船社間でも運航形態がさまざまであるので、一概に海外と比較して早計に結論を出す訳にはいかない。 各船社毎に、運航実績とそれに適した検査及び整備体制を採用している本邦の現在の整備体制は妥当なものと判断される。 今後、更に整備実態のデータを収集し、ガスタービン・エンジンの信頼性維持の実績を積む必要があり、本邦におけるHSI/TBO整備期間の延長については、将来の課題として更に検討していきたい。
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