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高齢者ケア国際シンポジウム
第5回(1994年) 日本の高齢者ケアのビジョン


来賓挨拶

厚生政務次官
狩野勝



ご承知のように、人口の高齢化は世界各国共通の趨勢であり、とりわけわが国においては人口の急速な高齢化と出生率の低下により、21世紀の初めには国民の4人に1人が65歳以上という、世界にも例をみない超高齢化社会が到来することが予想されます。世界経済の大きな転換期のなかで、このような本格的な高齢・少子社会の到来に対応し、すべての国民が健やかで、心豊かに、安心して暮らすことのできる社会保障制度を再構築していくことが、今日の私どもに課せられた緊急かつ最大の課題であると考えています。
このため、厚生省では1990年度から高齢者保健福祉推進10カ年戦略、いわゆるゴールドプランに基づき、保健・福祉分野におけるさまざまな施策の推進に全力を挙げて取り組んでいるところですが、さらに超高齢社会にあっても、社会保障制度が国民のセイフティネットとしてその役割を十分に果たしていけるよう、今後、目指すべき社会保障全体の基本的方向等について、専門の諸先生方にご検討をお願いし、本年3月に「21世紀福祉ビジョン」を作成したところです。
現在、この福祉ビジョン、そして老人保健福祉計画の作成により、地方自治体で把握された地域の実際のニーズを踏まえ、保健福祉サービスの目標水準の引き上げや、新たな施策を加えた総合的なプランとしての新ゴールドプランの策定に取り組んでいるところです。
高齢者のクオリティ・オブ・ライフの向上を図ること、言い換えれば人生の先達である高齢者の人格がほんとうに尊重され、豊かで人間らしい生活を送ることができる社会の実現を図ることは、人類共通の願いです。
このようななかで、国内および国外の高齢者ケアに関する有識者が一堂に会して開催される本シンポジウムは、今後の高齢者ケアを考えていくうえで誠に意義深いものです。
どうか、貴重な研究発表と活発な討議を通して、多くの実りある成果が得られますことを心からご期待を申し上げたいと思います。
終わりに、本シンポジウムの開催にたいへんなご尽力をなされた財団法人日本船舶振興会、および財団法人笹川医学医療研究財団に対し、深く敬意を表するとともに、本日お集まりの皆さま方の今後いっそうのご活躍とご健勝を祈念して、私のごあいさつとさせていただきます。





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