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高齢者ケア国際シンポジウム
第3回(1992年) ゆとりある生活環境と自立


ごあいさつ

財団法人 日本船舶振興会
会長 笹川良一



お早うございます。本日は第3回高齢者ケア国際シンポジウムを開催いたしましたところ、公務誠にご多忙中にもかかわりませず、ご来賓として厚生省から黒木事務次官のご臨席を賜り、また、多数の方々のご参加をいただき、主催者として厚く御礼申し上げます。
皆様すでにご高承の通り、わが国が世界一の長寿国となりましたことは誠に喜ばしいことでありますが、半面、介護を必要とする高齢者に対する社会の受け入れ体制はいまだ十分とは申せません。今後20数年間に2倍以上になると予測されます高齢者介護の問題は、単に高齢者と介護者だけの問題ではなく、わが国が対策を急ぐべき国民的課題であると思います。
お陰さまで私も本年5月4日で満93歳を迎えましたが、60歳を取って捨て33歳の実力を保持しております。従ってまだ老眼鏡も必要とせず、元気で毎日世のため人のために東奔西走しております。
従来、わが国においては高齢者にはできるだけ、楽をしていただくことが日本的なやさしさであり敬老の考え方だとされ、また、高齢者の方も周囲の人々に安易に依存する傾向がありましたが、これは多くの寝たきり老人を生む原因のひとつになったように思われます。人は誰でも、年をとっても生きがいのある充実した日々を送りたいと願っており、そのためには一部の身体機能が衰えても残っている機能を極力活用し、目標を持って自立した生活を目指すべきものと思います。
本シンポジウムも今回で3回目を迎えますが、本年は「ゆとりある生活環境と自立」をテーマに高齢者が自立した生活を送るには生活環境にどんな工夫が必要とされるのか、また、高齢者にとってやさしい街とはいかにあるべきかなどを皆様とご一緒に考えたいと思います。今回も従前同様に福祉医療先進5カ国から政治家、医師、看護婦、建築家など各分野の専門家の方々をお招きして、わが国の専門家諸氏と討論していただき、広い立場からわが国の目指すべき方向を探すことができればと願っております。皆様方の熱心なご討議を期待して、このシンポジウムが実りの多いものとなるよう希望いたします。
最後にこのシンポジウムにご協力いただいたWHO、厚生省をはじめとする諸機関および講師の先生方に最高の感謝の誠を捧げますと共に、本日ご来場の皆様方のご健康、ご長寿、ご多幸を祈念申し上げまして私のあいさつといたします。
平成4年10月21日





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