第2回高齢者ケア国際シンポジウムが開催されるにあたり、ひと言ごあいさつ申し上げます。
ご承知のように、わが国は平均寿命の伸長と出生数の減少により人口の高齢化が進み、21世紀の初めには国民の4人に1人が65歳以上である世界で最も高齢化の進んだ国になると予測されています。このような超高齢社会の到来に備えて、国民が安心して老後を迎えることができる長寿福祉社会を築いていくことは、厚生行政の最重要課題です。
このような観点から、高齢者が障害をもっていても、できる限り自立して生活していけるように、介護サービスの充実、在宅ケアの基盤整備、医療と福祉サービスの一体化を目指した体制の整備がとりわけ急がれています。
このため政府は、ホームヘルプサービス、ショートステイ等の在宅福祉の緊急整備、特別養護老人ホーム、老人保健施設等の施設の緊急整備、寝たきり老人ゼロ作戦などを柱とする高齢者保健福祉推進10カ年戦略を平成2年度から推進しています。
また、10カ年戦略を着実に実行する体制を整備するため、1990年6月には、老人福祉法と福祉関係8法の改正を行い、在宅福祉サービスの法律上の規定の整備、市町村および都道府県老人保健福祉計画の策定など、福祉のサイドから介護サービスの体制の充実を図る法体系の整備を行いました。さらに1991年9月、老人保健法の改正を行い、老人訪問看護制度の創設など、老人保健のサイドから看護サービス体制の強化を図り、在宅、施設を通じて医療と福祉が連携した総合的な介護体制の枠組みをつくったしだいです。
高齢者ケア、とりわけ痴呆性老人の介護の問題は、新しい挑戦が必要な分野であり、わが国としても各国のさまざまな取組みを学び、相互に情報交換を行い、施策の推進を図らなければなりません。
そのような観点から、「痴呆性老人の介護と人間の尊厳」をテーマに開催される本シンポジウムは、今後の高齢者ケアを考えていくうえでたいへん意義深く、その成果に大きな期待を寄せています。
最後に、本シンポジウムの開催にご尽力いただきました財団法人日本船舶振興会、財団法人笹川医学医療研究財団、読売新聞社、および海外からおいでいただきました専門家の先生をはじめ、本日お集まりの関係者の皆さまに深く敬意を表するとともに、本シンポジウムが成功裏に行われることを祈念して、私のごあいさつといたします。ありがとうございました。
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