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高齢者ケア国際シンポジウム
第2回(1991年) 痴呆性老人の介護と人間の尊厳


ごあいさつ

財団法人日本船舶振興会理事長
笹川陽平



本日、第2回高齢者ケア国際シンポジウムの開催に際し、本当にたくさんの方々にお集まりをいただき、心から御礼を申し上げます。
今回は、6か国からそれぞれの国で高齢者問題に真剣に取り組み、そして尊敬を受けておられる先生方をお迎えいたしました。
ご高承のとおりわが国は、世界的にまれにみる超スピードで高齢者時代を迎えようとしており、私どもの経験というものはほとんどないに等しいわけです。しかし、西洋では長くこの高齢者問題が扱われ、そして大きな実績を挙げています。それらの国において活躍されている先生方を今回講師としてお招きし、われわれが抱えている、あるいはこれから抱えようとしている高齢者問題について、ご意見をお聞きすると同時に、西洋での経験を、そのままわが国に受け入れるというのではなく、日本の伝統あるいは文化等に根ざした日本流のやり方にどのように適用させていくかを模索したいと考えています。
今回、特に痴呆性老人の問題をテーマに取り上げた理由は、わが国の痴呆性老人がすでに100万人を突破したことにあります。これは、およそ30所帯に1人の割合で痴呆症の老人を抱えているという深刻かつ性急な解決が望まれる問題であるということです。どうか活発な議論をいただくと同時に、この国際シンポジウムを通じ、よりいっそうの研究をお願いしたいと思います。
またいままで、高齢者問題はわが国が抱える最重要の問題であるということから、後援をいただいていました読売新聞社が、本国際シンポジウムの責任を分担し、そして可能な限り紙面を用いて国民にこの問題をアピールしたいとして、今回主催者としてご協力いただきました。心から御礼を申し上げます。
さらにWHO、厚生省、総務庁、全国社会福祉協議会、全国知事会、あるいは全国の市長会、また全国の町村会と、多くの機関・団体の後援を賜っています。
これはそれだけこの国際シンポジウムによせる関心の高さを物語っていると思われます。私ども日本船舶振興会は、ことのほか、この老人の問題につきましては関心を深くしており、笹川医学医療研究財団の理事長である日野原重明先生のご指導を仰ぎ、現在、富山県庄川町に全室個室など福祉先進国の優れた事例を取り入れた新しいタイプの老人ホームの建設をしていますが、このホームは利用される方にとっても非常に画期的な施設であり、今後、各方面からの注目を浴びることと思います。私どもはこのようにさまざまな形で高齢者問題に対して問題を提起していきたいと考えています。
いままでの老人ホームは、どちらかといえば、社会から疎外されるような形で、ひっそりと存在していた。この富山県庄川町の場合には、町の中心にこの老人ホームをおくことによって、単にすべての老人問題を国や地方自治体に任せるということではなく、一般市民に関心を深めていただくと同時に、やはりボランティア活動の多くの参加をいただくという形で、われわれ国民一人ひとりがそれに関心をもち、参加することによって、老後の幸せな人生を歩んでいただこうとするものです。
わが国も昨今、金融あるいは証券の不祥事を通じて、利益至上主義というものに対する反省が強く出てきていますが、まだまだわが国は、一般市民がボランティアに参加するという意識が希薄です。今後はこれらの意識の向上に努め、ボランティア活動を積極的に進める組織づくりが非常に重要な課題なってくると思われます。今回は、特にアメリカのアルツハイマー協会という、すばらしい組織の責任者の方も講師としてお迎えいたしております。
本国際シンポジウムが皆さま方にとりまして有意義なものとなりますよう期待し、大変簡単ですが、あいさつにかえさせていただきます。

平成3年11月19日
財団法人日本船舶振興会
理事長笹川陽平





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