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8. ビジョン達成に向けての提言

 

前章において「兵庫県の中小造船業のビジョン」達成のためには、「経営基盤の強化」、「技術力の向上」、「価格競争力の強化」、「需要創出への努力」が必要であることを示した。しかし、兵庫県の中小造船業がこれら4つの方策を効果的に実行するためには、方策の実行を支援する業界団体及び行政の役割を明確にする必要がある。

そこで、本章では、造船・舶用工業事業者、業界団体、行政がビジョン達成に向けて早急に取り組まなければならない事項を検討し、提言として取りまとめる。

 

提言

1)経営基盤の強化

事業者は経営規模が小さいこと等から生じている人材面、技術面、情報面、資金面等における経営基盤の弱さを「連携強化、共同化」によって補完し、需要創出や競争力強化を円滑に実施できるだけの経営基盤をつくる。一方、業界団体及び行政は事業者の努力を補完的に支援し、環境整備に必要な対策を講ずる。

 

2)技術力の向上

兵庫県には産業、技術、教育の集積がある。事業者はこれらの集積を活用して、自社の技術力のかさ上げと自社だけの差別化しうる技術・技能の確立を図るべきである。また、個々の事業者の力では実現しにくい「技術教育機関の設置」「技術情報センターの活用」「大学との連携の促進」等について業界団体及び行政が支援を行う必要がある。

 

3)価格競争力の強化

兵庫県の中小造船業は「都市近郊型」のため、人件費コストが他地域の造船業に比べて大きくなっていることから、価格競争力強化のためには、人件費の削減が必要となる。それと同時に兵庫県固有のメリット(作業船のシェアが非常に高い、舶用工業の集積など)を生かした標準化の促進などによるコスト削減も進めなければならない。

 

4)需要創出への努力

造船需要の創出のためには、情報の入手と適切な情報に基づく営業活動が必要である。多角化を達成している事業者の事例を見ても常に新事業のヒントを得るための情報入手を行っている。したがって、現在の厳しい状況の中において、需要創出のために今やるべきことは、

 

 

 

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