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-おわりに-

 

物流構造の変化、内航船の船腹過剰、内航船腹調整事業の解消に係る問題等による内航船建造需要の激減、公共事業の抑制に伴う作業船需要の減少等、兵庫県における中小造船業を取り巻く事業環境の変化には目覚ましいものがある。それらの厳しい状況は、長期に亘って続くことが予想されている。

本調査研究委員会・小委員会においては、兵庫県における中小造船事業者が、これら環境変化に対応し、今後とも事業を維持、発展させていくための指針として「中小造船業のビジョン」を策定した。ビジョン達成にあたっては障壁も多く、従来の対応・対策を見直し、新たな発展の方策を講じることが必要であることが判明した。

本ビジョンにおいては、経営基盤の強化、技術力の向上、価格競争力の強化、需要創出への努力の4つのそれぞれにおいて、個々の事業者が取り組むべき具体的方策に加えて、業界団体及び行政が協調して取り組まなければならない方策を示しているが、個々の企業における具体的な取組については、業種、業態が多様であり、最善となる対応方策も様々であることから、個々の企業の積極的な対応に期待するところである。

本調査を開始してからの1年間、特に後半の半年間は、中小造船業を取りまく環境は激変した。委員会では、このような状況に応じて検討をすすめてきたつもりであるが、変化が急激でありすぎたため、若干の不十分さが残ったことは否めない。

また、本ビジョンの目標年次は2005年と設定されているが、本ビジョンを達成するためには、第5次構造改善事業として進められる中小造船業の「生産規模の適正化」が図られる必要があることは言をまたない。

ビジョン達成に向けた今歩踏み込んだ検討については、今後の事業者個々の造船業継続に対する強い意欲と自助努力、業界団体が事業者と協調した積極的取り組み、行政の全面的な支援に委ねることとしているが、本ビジョンが、今後の中小造船業の活性化、発展の契機となることを願うものである。

 

 

 

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