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3.3 津波計算波高と検潮記録との比較

昭和三陸地震津波来襲時には、三陸沿岸の八戸、気仙沼、月浜、鮎川、石巻、塩釜(花淵、塩釜港内)で検潮儀が津波を時系列として記録している。そこで、各検潮所の位置における計算津波位時系列と実測津波水位の比較を行った。ここで検潮記録上に地震で針が飛んだ跡のあるものは、その時刻を地震発生時刻として時刻を補正した。

検潮所位置を図3-3-1〜図3-3-6に、検潮記録と計算結果の比較を図3-3-7〜図3-3-20に示す。

八戸では、計算結果を13分前にずらした結果と検潮記録が良く対応している。検潮記録と計算の波高は相田モデルで計算結果がやや高く、Abeモデルではほぼ等しい。

気仙沼では最初の引き波の時刻は良く再現されている。波高比は両モデルとも計算結果がやや高い。

月浜では、計算結果を後ろに5分ずらした結果と検潮記録が良く対応している。波高比は両モデル共に計算結果がやや高い。

鮎川では、計算結果が検潮記録の水位(最大1m位)を大幅に上回っているが、鮎川近辺での津波高が2.3〜3.2m(図3-3-3参照)であることを考えると、検潮儀の応答特性により津波水位が現実より過小に測定されている可能性がある。仮に井戸の内径を1m、導水管太さを19cm、導水管長さを1mとすると、検潮儀外での最大水位は3.2mと計算される。

石巻では、計算結果を10分もしくは12分後ろにずらした結果と検潮記録の初めの引き波及び次の押し波が対応している。

花淵では、検潮記録に対して計算結果がより短周期成分を含んでいるが、長周期の変動と検潮記録が良く対応している。

塩釜港内では、検潮記録と計算結果の周期が良く対応している。位相は、Abeモデルの方が検潮記録より早くなっている。

 

 

 

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