3.2 各港湾における計算津波高と実測津波高比較
モデル港湾として設定した宮古、釜石、大船渡の各港湾での計算津波高と実測津波高の比較を行った。計算に用いた潮位は地震発生時刻での値(潮位=0)を用いている。なお、地震発生日の潮位は最高で約50cm、最低で約-40cmであった。
3.2.1 宮古港
宮古港での津波高測定結果と計算結果を相田(1977)、Abe(1978)の両モデルについて図3-2-1、図3-2-2に示す。ここで、各図の津波高測定地点での値は測定結果、計算結果の順番で並んでいる。
相田モデルでは、計算結果は測定結果よりも全体的に高めとなっているが、Abe(1978)モデルの方が計算津波高が相田(1977)モデルに比べて低めになっている。
上に述べた津波高測定結果と計算津波高の関係をまとめたものを図3-2-3に示す。図3-2-3で、横軸は実測津波高、縦軸は計算津波高、図中の点は津波測定地での両者の値を表している。図中には計算値=実測値の線(実線)と、参考のため計算値=実測値±1mの線(破線)を添えている。計算の再現性が高いほど図中の点は計算値=実測値の線に近づくことになる。
図をみると、相田(1977)モデルでは上述したように計算津波高が実測より大きめとなり、Abe(1978)モデルでは計算津波高が湾内でほぼ同じ値を取ることがわかる。
計算値と実測値のずれを表す指標として次式で示す相田のK値とκ値を算出した。
ここでxiは実測津波高、yiは計算津波高、nは観測点数を示している。Kは実測津波高が計算津波高に対してK倍になっていることを示し、Kが1に近いほど計算値は実測値に近いことを示している。κは[実測津波高/計算津波高]のKからのずれを示し、計算値のばらつき具合を示している。
宮古湾においてはK=0.67〜1.05、κ=1.59〜1.67(相田/Abeモデル)となる。