3) 標準偏差/平均値による2値化
分布解析は最終的に流氷域と開水面とを分離することが目的であるため、ここまでの解析の結果、流氷域が比較的良く強調されている標準偏差/平均値画像を用いて流氷分布図を作成した。
標準偏差/平均値画像をもとにある閾値を決めて流氷を白、海面を黒として白黒に2値化した画像を図31に示した。閾値の与え方には任意性があり、この場合できるだけ肉眼で得られる分布に近くなるように設定した。2値化のため流氷域と考えられる部分でも閾値以下のものは黒く表現され、海面でも閾値以上のものは白く残されている。
閾値の調整により、得られた分布域は概ね肉眼での判読と一致する程度となった。ただし、流氷域内にかなり黒い部分が見られるなど全体的に粗い分布となっている。また、標準偏差/平均値画像と同様、均質な氷盤が黒くなっていること、知床半島東側で明らかに海面と思われる部分に白い部分が見えることなど肉眼の判読結果と異なる部分も見られた。海面部分の高輝度域はかなり除去できているが、一部に白く残っているものも見られた。
閾値をより低く設定すると、流氷域内部はより密に表現されるが、海面の風浪域の中に流氷と判断される部分が増加する。逆に閾値を高く設定すると、海面の部分は誤判読が減るが、流氷域もさらに中に海面と判断される部分が増加する。
流氷と考えられる部分を残しつつ海面の風浪域を落とす方法として、連続した高輝度部を残す一方、孤立した高輝度ピクセルを海面として削除することなどが考えられる。
流氷と海面を含む部分画像の位置とその部分画像のヒストグラムを図30に示した。ヒストグラムからは適当な閾値を設定することはできなかった。
