? 平均および標準偏差の組み合わせによる分類
1) 平均値画像および分散値画像
i) 方法
画像を10×10ピクセル(地上距離125×125m)に分割し、それぞれの領域での平均と分散を計算、その値で画像を作成した。また、計算領域を100×100ピクセル(地上距離1250×1250m)とした場合の平均値画像も作成した。
平均値画像は平均フィルター(フィルターの場合は移動平均をとる点が異なる)をかけた結果と近いものと考えられる。
分散値画像は、小領域内の輝度差を強調する効果が期待される。開水面では流氷に比べ輝度の空間変化が小さいと考えられるため、開水面での分散値は流氷部分より小さくなることが期待された。
原画像としては、ランダムなノイズによって分散が過大に評価される恐れがあるため、平均フィルター(9×9)をかけたものを使用した。
ii) 結果
10×10ピクセルの平均値画像を図25に、分散値画像を図24に示した。100×100ピクセルの平均値画像を図26に示した。
分散値画像を原画像と比較すると流氷域内の細かい濃淡が均一化される一方、流氷域が高輝度部分と低輝度部分に分化する傾向が見られた。また、黒く表現されていた氷盤は黒く残るものと白く表現されるものとに分かれた。流氷域でも氷盤と氷盤の間の比較的空間変化の滑らかな部分は黒く示された。流氷域内の高輝度部分は流氷であると考えられるが、低輝度部分が開水面か黒い氷盤かはこの画像だけからは判断できない。また、網走沖に見られる海面の高輝度部分については分散値画像でも高い輝度のまま残っており、分散値のみによる海面と流氷の分離は難しいと考えられた。
平均値画像については、平均フィルターをかけた原画像とほとんど同じであった。100×100ピクセルの平均値画像については解像度が粗く流氷分布の解析には適さないと考えられた。