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3) エッジ強調フィルターによる氷域の判読

i) エッジ強調フィルターの概要

エッジ強調フイルターは対象とする画像の輝度変化を強調するフィルターであり、変化率が大きい(空間的に輝度の変化が大きい=画像では濃淡が大きく変化する)部分ほど大きい輝度を与える(画像上で白く表現される)効果を持つ。

ここではソーベルフィルター(7×7ピクセル)を使用した。ソーベルフィルターの動作を図21に示した。

 

042-1.gif

 

対象とする画像には前項でスペックルが比較的効果的に低減された平均フィルター(9×9ピクセル)をかけたものを使用した。

ii) 適応結果

エッジ強調処理の結果を図22に示した。また、フィルターの影響を見るためにスペックル低減処理を行わない原画像にエッジ強調フィルターをかけたものを図23に示した。

流氷と海面の境界が強調されて白く表現されており、原画像に対して流氷域が強調された。氷域の境界部ではエッジ強調の効果により流氷域と海面の境界が高輝度に表現されたが、氷域の内部においても氷盤と氷盤間の海面あるいは氷盤と小さな氷塊群等との境界が強調され氷域が全体に高輝度となった。大きな氷盤については白いものも黒いものもその他の流氷域に比べてやや低い輝度となった。

氷域の境界については風上側では明瞭に抽出され、氷域と海面がはっきりと分離された。一方、風下側では氷盤の輪郭は明瞭に強調されているものの、特に知床半島北部沖合いに見られる海面と流氷との混在域では氷域の境界がやや不明瞭であった。

スペックル低減処理を行わない場合は、海面の風浪部や流氷内部の微少な変化がすべて強調されてしまうために、全体に細かな高輝度点が散らばる結果となった。そのため波浪域と流氷域のエッジは原画像に比べて特に良く判読できるとは言えなかった。これはSobelフィルターが3×3ピクセルという小領域を対象として計算を行うために、スペックルによりノイズを拾いやすいためと考えられた。

 

 

 

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