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? 判読図の作成と評価

以上の判読キーを基に肉眼による判読で分布・密接度図を作成し、図10に示した。

3月25日および26日の流氷分布については前出の図9(3)および(4)に示した。SAR画像と流氷情報では対象範囲の大きさが異なること、基礎データの収集時間が異なることなどのため直接比較することは難しいが、判読図と3月26日のパターンでは密接度9〜10の分布域が良く似た形状であり、概ね一致していると言える。

対象としたRADARSAT画像の空間解像度は12.5m(名目解像度は30m)となっている。画像を判読した結果、今回の対象範囲の判読には十分な解像度であった。また、大部分の領域では海面と流氷の区別も明瞭にでき、判読に十分使えることが示された。

知床半島北側の大きな流氷域の風下側(東側)では風浪による散乱と流氷の輝度レベルが近いと思われ、風上側のように明瞭に区別することはできなかった。

より広い範囲の判読には、ScanSARなど広域を対象とするビームモードが適している。付図4に本画像の前後に撮影されたRADARSATのScanSARモードの画像を示した。ScanSARモードは約500×500kmの範囲をカバーしているが、解像度は約100mとなっている。また、画像の端と端では入射角が大きく異なるため、画像上の位置(衛星軌道直下からの距離)によって風浪による海面からの後方散乱の大きさが変化する。軌道に近い側では海面が高輝度に表現され、軌道から遠い側では低輝度に表現される傾向があるため、判読にあたっては注意が必要である。

 

 

 

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