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(解説)

危険物運搬船の電気設備

 

1. 防爆形電気機器

1.1 一般

 

油,液化ガス等引火性のガス・蒸気を発生する物質を運搬する船舶には危険場所が設定されており,これらの危険場所に装備される電気機器は防爆構造のものとすることが要求される。

現在,船舶に一般に用いられる防爆構造は,本質安全防爆構造,耐圧防爆構造,内圧防爆構造及び安全増防爆構造の4種であるが,いずれも,対象とする引火性ガス・蒸気に対して安全に使用できる防爆性能が要求される。

このためには,各種のガス・蒸気に対してその危険性の度合を判定して分類する必要があるが,現在,我が国ではこの危険度を,標準容器(内容積8000?3,半球部のフランジ接合面のスキの奥行が25?の球状容器で,そのスキの値を変化させて火炎逸走限界を測定する装置)により火炎逸走限界の値に従って爆発等級1〜3まで,また,それぞれの発火温度により発火度1〜6までに分類している。(表-1及び表-2参照)

しかし,国際的にはIECによる分類方法が採用されており,IMOのIBCコードなどはIECによっている。従って,将来的にはJISが改正され,IECとの整合が計られるものと考えられる。

IECによる分類方法は,現行JISによる爆発等級に相当するガス・蒸気グループを火炎逸走限界(爆発性雰囲気の中に置かれた標準容器の内部で生じた爆発による火炎が接合面のすきまを通って外部に伝搬することを阻止することができる最大限のすきまの値をいう)及び最小点火電流比(最小点火電流とは,爆発性雰囲気が電気火花によって爆発を起し得る最小の回路電流をいい,最小点火電流比とは,メタンに対する最小点火電流と対象とするガス・蒸気の最小点火電流との比で表す)の両面からA,B及びCの3等級に分類している。(表-3,表-4及び表-5参照)

なお,現行JISの発火度に相当するIECの温度等級の分類は,JISと同じ数値となっている。

また,IECでは防爆形機器の分類上,炭鉱用をグループ?,その他の事業所用をグループ?と分類規定しているが,船舶にあっては,グループ?が適用される。

 

 

 

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