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近年の問題点としては、50,000DWT級船舶の入出港が増えつつあるが、チャンネルの水深が浅いため、ハロン湾外側ではしけによる沖取りで対応している。

このため、50,000DWT級船舶が接岸可能な岸壁整備を要請してるが計画が進んでいない。また、ハロン湾にある年間300万トンの取扱能力をもつ石油ガソリン総合会社石油積出港の移転要請が出ているが、代替用地の選定・建設工事費をいかにするかという課題もあるという。

クァンニン省各港の荷役設備は、どれもフランス植民地時代のもので、老朽化が激しい。このため、設備の修理・改造によるグレードアップでは効率を上げることができない。リプレースにより効率的に設備能力の増強をはかる必要があるとのこと。

 

Port Authority of Quan Ninhにて聴取した港湾建設・拡張計画の概要を以下に記す。

 

・カイラン港建設計画

現在1ヶ所のバースを第1期工事で6ヶ所増設して7ヶ所とする計画で、政府許可は下りている。7ヶ所のうち2ヶ所が40,000〜50,000dwt船用で、5ヶ所が10,000〜20,000DWT船用とする予定。

 

・セメント積出港建設計画

‘99年稼動予定のセメント工場に合わせて20,000dwt船用セメント積出新港を建設する計画。現存のメイン・チャンネルから伸びるアプローチ・チャンネルをセメント工場岸壁まで造る案とコスト面等で比較検討中。

Port Authority of Quang Ninhによれば、セメント工場は、‘99年までに年間150万トンの生産能力を持ち2000年以降は450万トンの能力となる予定である。計画中の積出新港までは、セメント工場からの陸上約5kmをベルトコンベアーでつなぐことになる。一方、アプローチチャンネルを新設する案は、セメント工場とメインチャンネル間の約6kmを浚渫することとなる。

アプローチチャンネル新設後の埋没はない。周辺の上砂流入量は20年間で数十センチのみという調査結果がある。この計画については、セメント会社がおこなっている。ただし、アプローチチャンネルの長さについては、10kmとの情報もあり、この距離に桟橋を架設するというアイディアも出ているようで、日系セメント会社の依頼を受けて実際の調査・検討は日本企業がおこなっているようである。

 

・メイン・チャンネル増幅計画

現存のメイン・チャンネル(深さ-8.1m、幅110m)を深さ-9.0m、幅220mにする計画。JICAの地質調査によれば、-13mに岩盤層があるとの報告がなされている。

 

 

 

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