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この電離層の中での電波の伝わりかたを,電波の伝搬速度を位相速度と群速度に分けて考えると,電子密度が増加するにつれて位相速度が速くなり,群速度は遅くなる。自由空間を伝わる電波の速度は光速度と同じであるが, この光速度cと位相速度vの比が屈折率nとなる。すなわち

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である。このnは

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ここで,fは電波の周波数,Nは1立方メートル中に含まれる自由電子の数である。図7・4にnの変化による電波の通路を示す。

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こうして,図7・5に示すように電離層ではその状況によって差はあるが,10kHzから20MHz程度までの電波は曲げられてしまい,地上に戻ってきて地球の外に出て行くことはできない。また,その高さは電波の周波数が低いほど下方から戻って来るようになる。しかしVHF帯以上の周波数の電波は,電離層を通り抜けていくことができ,また,人工衛星からの電波のように上から下へも伝わることができるが,VHF帯とUHF帯の電波は,また電離層による電波の屈折効果を受けてその通路が湾曲して伝搬路が長くなり,伝搬の遅れを生ずる。そして,この遅延の程度は周波数の自乗に逆比例する。

 

 

 

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