地球の上には空気(大気)があるが,この大気は上にいくほど薄くなって,ついには真空状態になる。この空気が比較的濃く存在し,いろいろな気象現象を生ずる地表から10数kmまでの部分を対流圏と呼ぶが,このような大気も一部の電波の伝搬に影響を与える。そして,その影響は,大気の気圧(密度),温度及び水蒸気の含有の度合(湿度)によって顕著に変る場合もある。
対流圏を上に昇っていくと大気はさらに薄くなり,もはや電波の伝搬にはほとんど影響を与えなくなるが,なおその高度をあげていくと,今度は一層薄くなった大気が太陽からの放射によって電離し,電子とイオンに分かれている電離層という層をつくっている。電離層は地上数10kmから数100kmのかなり厚い層であって,