この電力PPを全表面にわたって計算されたものが,その空中線の放射電力である。また,空中線を電気回路と同じように考えると,空中線電流I[A]によって放射電力P[W]を生じるためには,6・7式で表わされるような仮想的な抵抗R[Ω]が存在すると考えられ,
P=I2 ∴R=P/I2[Ω] (6・7)
この抵抗R[Ω]を放射抵抗という。
半波長ダイポール空中線の放射抵抗は,Rr=73.13[Ω]であって空中線の基礎定数としてよく用いられる数値である。
(3) 共振
空中線から能率よく電波を放射させるために,空中線を共振させることが必要である。
空中線を電気回路として考えて,空中線自身と空間に蓄えられる電界エネルギーを静電容量Ce,磁界エネルギーをインダクタンスLeに対応させて,放射電力と損失電力を抵抗Reに対応させた回路と考えれば,図6・5に示すように第1章で学んだ直列共振回路になり,このときの入力インピーダンスZfは,