すなわち、クロック周波数が高くなると、過渡状態が占める時間的割合が増すので消費電力も大きくなる。クロック周波数が数MHzになると消費電力はTTLと同程度か、又はそれ以上になる。
(3)CMOSのファミリ
CMOSのファミリは、RCA社のCD4000シリーズ、モトローラ社のMC14000シリーズ、NSC(National Semiconductor Corp.)社のTTLピンコンパチブルなMM54のMC14500シリーズと、各社のオリジナル製品とに大別することができる。
世界の半導体メーカーはRCAタイプ、モトローラタイプ、NSCタイプのセカンドソースとして、共通番号4000、4500、74COOシリーズを開発し、品種も増えてTTLに近づきつつある。しかし、各社共通番号の製品でも仕様が多少異なる点もあり、使用するときには規格を検討する必要がある。
6・4・4 CMOSを使用するときの注意事項
CMOSの使用上の注意事項は、4・6節のトランジスタのものとほぼ同じであるが、重複をいとわず述べると次のとおりである。
(1)ラッチアップ(Latch up)
CMOSは多くの寄生トランジスタが内部に構成されているため、定格を超えた使用をすると、ラッチアップを誘発することがある。これは外来ノイズなどにより、寄生トランジスタが導通となってSCR(サイリスタ)を作り、このためICの電源とアース間にバスができ(ショートさせたのと同じ状態となり)、大電流が流れてICを破壊する現象である。
原因として次のようなものが考えられる。
? 電源電圧を最大許容値(絶対最大定格)以上にしたとき
? 入力電圧がVDDより大きいか、VSSより小さいとき及び極性を間違えたとき。
? 出力端子に加えられる電圧がVDDより大きいか、VSSより小さいとき。
注意事項としては、電源を与えない状態で入出力端子に電圧(信号)を加えたり、電源を加えたままソケットからICを引き抜いたりしないことである。