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MF/HF無線設備又はインマルサット無線設備に接続される。

(8)インマルサット無線電話

インマルサット静止衛星を使用し、遭難通信を含む情報を船舶と陸上との間で直接交信する装置である。4個のインマルサット衛星は赤道上約36,000kmの静止衛星軌道であって、東・西大西洋、インド洋及び太平洋上にあり、極地域を除く全世界的な通信有効範囲をカバーしている。

(9)極軌道衛星利用非常用位置指示無線標識装置(EPIRB)

船舶が遭難した場合、コスパス・サーサット極軌道衛星を経由して陸上局に遭難の発生を送信する装置である。浮揚型と非浮揚型があり、浮揚型は手動発信のほか船舶から自動離脱して浮揚し自動的に発信される。非浮揚型は手動発信の機能のみを有し船橋等に装備される。

(10)レーダー・トランスポンダー(SART)

船舶又は航空機に装備されている9ギガヘルツ帯のレーダー電波に応答して同じ9ギガヘルツ帯の電波をレーダー・トランスポンダーから発信し、それを船舶又は航空機のレーダー映像面に発信位置を一列の輝点で表示させるホーミング装置である。船舶からのレーダー・トランスポンダーの探知距離はSARTの海面上の高さ及びレーダーの空中線の高さにより変り、数海里であるが、航空機ではさらに遠くから遭難者を発見できる。

(11)双方向無線電話装置

船舶が遭難した場合、遭難船舶と生存艇間、生存艇相互間、生存艇と救助船間で遭難現場通信を行う小型の無線電話である。

常時は、操舵室などに格納しておいて非常の際に持ち出して使用する持運び式と予め生存艇に固定装備するものとがある。

GMDSS設備の搭載要件については、船舶の種類(条約船、非条約船)、航行水域(A4〜A1)等の条件によりその内容が異なる。表2(1/2)は条約船の搭載要件を、表2(2/2)は非条約船の搭載要件を示したものである。

ここで、A1水域とは、海岸局との間でVHF無線電話で通話ができ、かつ、海岸局に対してVHFデジタル選択呼出装置による遭難呼出しの送信ができる水域である。(約25海里の水域)

日本においてはA1水域の具体的な水域は定められない。また、国外の水域についてはSOLAS条約に加盟している当該国の政府がこれを定めることとなっている。

A2水域とは、海岸局との間でMF無線電話で通話ができ、かつ海岸局に対してMFデジタル選択呼出装置による遭難呼出しの送信ができる水域である。(約150海里の水域)

具体的な水域は、平成4年1月28日付けの運輸省告示で示されている。また、国外の水域についてはSOLAS条約に加盟している当該国の政府がこれを定めることとなっている。

A3水域とは、インマルサット直接印刷電信又はインマルサット無線電話により、海岸地球局と通話を行うことができる水域である。(約北緯75°から南緯75°までの水域)

具体的な水域は平成4年1月28日付けの運輸省告示で示されている。

A4水域とは、A1水域、A2水域及びA3水域以外の水域(主に極地)をいう。

義務船舶に対するGMDSS設備導入のスケジュールを表3に示す。表3(1/2)は条約船に対するGMDSS設備導入のスケジュールを、表3(2/2)には非条約船に対するGMDSS設備導入のスケジュールを示したものである。

 

 

 

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