電磁誘導作用はコイルの代りに導体の板又は固体についても起る。図2・16(a)についてみれば矢の方向に磁束Φが変化するときに発生する起電力はこの板又は固体を貫通しようとする磁束の変化を打消すように,うず状に電流が流れる。これをうず電流という。このために導体の抵抗によって熱を発生する。この電力損失をうず電流損という。このうず電流損を少なくするため図2・16(c)のように薄鋼板を重ね互いに絶縁した成層鉄心を用いる。発電機,変圧器,電動機などにはこのため成層鉄心を使用する。
また,図2・16(b)のようにアルミ円板にNS磁極をはさんで,磁石を図のように回転すれば円板もこれに追従して回転する。これはうず電流と磁界との間に電磁力によって回転力(トルク)を生じて回転する。
〔応用〕 うず電流を利用して回転体に制動力(ブレーキ)を与え,又は逆に回転体に駆動回転力(トルク)を生じさせたりすることに利用する。また,うず電流損による発熱は電気炉などに利用されている。
2・6 磁化曲線,ヒステリシスループ,ヒステリシス損
2・6・1 磁化曲線
図2・17(a)のように鉄心のまわりにコイルを巻き,これに電流を流せば鉄心は