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5潮流下での船体運動の計測と潮流影響の推定

 

練習船こじまにRTK-GPSを設置して、来島海峡を通峡し、潮流下の操縦運動を計測する。それから加速度を推定し、この状態で船に作用している流体力を推定する。その流体力から、その時の船の運動によって生じたと推定できる成分とその時の舵の操作によって生じたと推定できる成分を差し引くと、残りは潮流の影響によって生じた成分と考えることができる。このような方法で潮流影響を求めることを目的として、強い潮流が存在する場合に来島海峡を通過し、その時の船の運動と操作状況の計測を試みた。

まず、リアルタイム用の基準局は本四架橋公団の協力を戴いて、馬島上に建設中のタワー上に設置し、オフライン用に用いる基準局は操縦性試験と同様に広島大学のビル屋上に設置した。こじまには図5-1に示すように受信機を配置した。

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船に作用している全流体力とYtotal,Ntotalは(1),(2)式により求める。運動による成分と舵角による成分は(7),(8)式により4-4節で得られた微係数を使って求めることができる。ただしGPSで計測される速度は対地速度であり、(7),(8)式中の速度は対水速度であるので換算が必要なことに注意する。なおここでの計算は表4-4の(d)の微係数を使い、舵角による成分と'による成分はそれぞれ(15),(16)式と(22)〜(27)式から計算した。全流体力から運動と舵角の成分を除くことで潮流による流体力成分Yc,Ncが求められる。

 

627-2.gif

 

図5-2は船の来島海峡における時々刻々の軌跡、速度ベクトル、それぞれの位置の潮流の速度ベクトルを示す。潮流はこじまに備えられている、対地船速と対水船速から測定する潮流計より

 

 

 

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