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4.2操船シミュレータ実験の評価

操船シュミレータ実験の航跡を前述の測位誤差分布図の上にプロットすると、図IV-4-2となる。この図は中水道を西航する大型船の場合のシュミレータ実験(ケース1-1)の結果をプロットしたものである。この航跡が通った場所の測位誤差の変化を求めてみると図IV-4-3となる。この図の上は、船位の時間変化に応じて求めた測位誤差分布であり、図の下は、実験開始位置からの行程に応じて求めた測位誤差分布である。これから実験開始位置付近での測位誤差が25m程度と大きく、海峡の中心に近づくほど誤差が小さくなり、海峡通過後にはまた誤差が大きくなる様子が判る。

図IV-4-4からも判るように、船は航路の中を正確に航行している。これは、本ケースの場合、船の位置及び航路からの変位を正確に捉えて船を制御していることを示している。実験の全てのケースに渡って同様の解析を行った結果、実験ケース6-1-2を除いて航路内を航行していることが判った。ケース6-1-2の場合の航跡を図IV-4-4に示す。操船者はこの実験の後、同じ条件でもう一度実験を行い、その結果は正確に航路内を航行した。このことから来島海峡における測位精度は、この航路を航行する船にとって十分に正確な位置を知ることができる場所であることが判った。

また図IV-4-4の場合は、操舵時期が遅れた結果であると言える。狭水道で的確な操船を行うためには、正確な自船の位置を知ることが必要である。このため狭水道の場合、位置を容易に捉えられるように、船首目標を設定して航路からの横偏位を捉え、正横目標で転針時期を捉えるのが一般的である。しかし周囲に他船が存在すると、計画通りの操船ができず、転針時期がずれてしまうことが起きる。こうしたときは、船首目標のみでなく横の目標も同時に観測して、短い時間間隔で正確な船位を求めながら操船する事が必要となる。

 

 

 

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