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(1)「順中逆西」における問題点

○中水道航行

大型船操船者・小型船操船者とも馬島・中渡島間の最狭部における追越し(被追越しも含む)状況について、これを忌避している。水道に進入する前段階において速力調整などによって船間距離を調整することになるが、特に南流時においてはて、最狭部の北側で東側に圧流(結果、中渡島に接近)される傾向が認められ、操船者が負担を感じる場合があることが分かった。また、中水道を抜けた後でも、南流の影響が引き続いており、東に変針する際には舵効きを維持するのに必要な速力を有しておく必要がある。これは、先述の船間距離確保のための速力の調整とも関連しており、中水道の航行にあたっては、細やかな速力調整が求められる可能性があることに注意する必要がある。

○西水道航行

水道半ばが潮流速が最大となるため、先行する同航船から順に逆潮の影響を強く受けることになり、船間距離が小さくなることに留意する必要がある。また、今回の実験では、北航時・南航時とも小島の変針点付近での危険が指摘されている。北航時では西水道の西寄りを航行することで追越してくる大型船の進路を譲った小型船が、小島付近で逆潮によって大型船側に圧流されたり、あるいは、小島付近で西に変針した大型船が北からの潮流を受けて左舷側に圧流され、追越した小型船に接近する状況が生じた。一方、南航時では、小島と先行する同航船との間にはさまれて南下を開始する状況があり、強い閉塞感を想起させる状況が生じた。

したがって、「順中逆西」での西水道では、水道内での追越し状況だけではなく、小島変針点付近での他船との出会いを早い時期から検討しておく必要があるといえる。

 

 

 

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