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(4)再現する交通環境

操船シミュレータ実験において再現する船舶の発生隻数は、実態観測において着目された最輻輳時間帯においてほぼ最強流時の場合があり、このときにも船舶の通航が認められることから、海上交通流シミュレーションでの設定(中水道・西水道それぞれ15隻/時間)を踏襲するものとした。(ただし、このときの流速の最大値は6.1ノット程度であった。)

船型区分は、海上交通流シミュレーションで採用された船型構成比率(各水道毎)と最輻輳時間帯における船型区分がほぼ同様であると認めることができることから、発生隻数と同じく、海上交通流シミュレーションでの設定を踏襲した。

したがって、操船シミュレータ実験での交通環境として海上交通流シミュレーションにおける通航状況が再現されることとなった。しかし、海上交通流シミュレーションでは船舶の発生等は確率的に設定されていることから、シミュレーション時間(ここでは50時間)の中で、恒常的に水道内の通航が厳しい状況となっていることはない。操船シミュレータの交通環境としては、水道内の航行が厳しくなっている状況を選定する必要があることから、海上交通流シミュレーションの結果に対して交通密度および閉塞度を求め、これら二つの評価指標による比較に基づき再現対象とする通航状況を抽出することとした。

図IV-1-5に交通密度および閉塞度による比較結果を示す。図中のサンプルは、各航法(「順中逆西」よおよび「右側通航」)の海上交通流シミュレーション結果における横切禁止区域内(中水道・西水道)での大型船(船長175m以上)からみた閉塞度と、閉塞度が0.4を超える状況での交通密度(横切禁止区域)を示している。

操船シミュレータ実験での交通環境として、二つの評価指標による分布が近い、○をつけた交通を抽出するものとした。

海上交通流シミュレーションで設定された航行速力は、結果として、転流時を基準として、南流と北流それぞれにおける流速が加味されて割り当てられていたとみることができる。操船シミュレータ実験での速力の割当ては、各船型毎に平均速力を転流時の速力として、これに航行場所に応じた潮流の船首尾方向の成分を加減して設定した。

図IV-1-6から図IV-1-11に通航方式・流向の別による各水道を航行する船舶の速力変化を示す。

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