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「制御則」

制御則の選択には、一般的な制御装置である人間の特性に似たモデルを導入するという考え方もできる。人間の操縦はコースから一定以上に外れると制御のゲインを上げ、原コース復帰を強めるという非線形な特性等が現れるのが通例である。また、潮流影響が強くなると、ゲインを上げて偏位が過大にならないように操縦するから、操船結果に潮流影響の差が現れにくいというのも人間の特徴となる。

簡単な線形制御の場合、影響が強ければその分だけ、偏位も大きくなると期待され、航法による潮流影響の違いを考察するという、今回の研究目的には好都合と言える。そこで、操船者の判断に馴染みやすいように、あるいは評価を考えやすいように以下のような制御則を考え、航行困難度の評価と結合しやすくした。

・指定された方位を守るための方位に関する比例、微分制御の導入

・指定されたコースラインを維持するために、船長の2倍先のコースライン上の点に向首するような位置制御の導入

4.2.3潮流影響を表す指標の検討

(1)潮流影響を表す指標(自動制御からみた検討)

自動制御では目標航路上に船体重心があることを目的としている(変針点付近を除く)。

今、外力が船体に働き重心位置が目標航路から外れると、目標航路へ復帰するように舵角が決定される。この時の船体に働く外力から(目標航路に復帰するための)修正舵角決定に至る流れ(概略)を図?-4-17に示す。

外力は、船体に対する相対的な向きにより船首尾方向の力と正横方向の力に分解して働くとみることができる。あわせて回頭モーメントが働くため、船体には並進運動と回転運動が誘起される。

船首尾方向の力と正横方向の力はそれぞれの速力に反映される。正横方向の速力により、斜航角が出現するとともに、重心位置は目標航路上から外れるために偏位量が発生する。

ここで当該制御則は、先ず、偏位量と自船船長(2L)に基き目標航路上に目標点を設定する。次に、船体重心から目標点を望む方位を目標針路とし、現針路(外力による回頭モーメントを受けて変化した)との間の針路差ならびに回頭角速度を以って(修正)舵角を決定する(PD制御)。

 

 

 

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