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1.3.3交通環境と操船に関する胡査研究

来島海峡の潮流.地形等の影響を考慮して来島大橋付近の安全な操船方法を検討し、これによって架橋後の操船方法のあり方を提案した。

(1)交通流シミュレーションによる視界制限時の交通環境評価

来島海峡における航行の困難度を高める要因のひとつである狭視界に着目し、狭視界時の交通環境評価について調査が行われた。

1)シミュレーションモデル

狭視界時の交通環境を推定評価するに際し、他船の動静(針路・速力)判断精度劣化の影響や避航動作の遅れによる影響をシミュレーションモデルおよび評価の段階で取り入れた。

2)評価方法

交通環境評価には自船の周囲に存在する衝突および乗揚げの危険を統合する操船空

間閉塞度に避航操船に伴う単位時間当たりの船首尾方向および正横方向偏位量(避航操

船を行わない場合の船位との差)を加味した指標を用いた。

シミュレーションの結果、他船の動静判断精度劣化に伴い推定困難度は高くなった。

(2)来島海峡憩流時狭水城における船舶行会いの解析

来島海峡の順中逆西による航法のため、転流時における航法の切り替え時に着目し、憩流時水道狭域部の船舶の行会いの実態を調査解析した。

1)調査方法

来島海峡において転流時に生じる狭水域での船舶の行会いの実態をレーダ映像を録

画したVTRテープを使用して調査解析した。

2)解析結果

行会いの発生は西水道北部に集中し、夜間の南流からの転流時に、しかもそのほとんどが転流時から10分以内で発生していることが判明した。

(3)来島海峡における追越し状況の分析

一方通航で、潮流が海峡内の海域によって大きく変わる来島海峡で追越し状況が多く発生する事に着目し、航行シミュレーションと解析的手法で分析し、架橋付近で併走しないような対策を検討した。

1)強潮流下の航行シミュレーション

操縦性能中心の操縦シミュレーションと交通流を中心にした交通シミュレーションの両面を持つ、簡易な操縦モデルを組み込んだ航行シミュレーションを作製した。これを用いて南流最強時の西水道を北航する場合について低速船(小型船)と高速船(大型船)とが最狭部で併走せざるを得ない状況を再現し、航路の出入口付近における小型船と大型船の初期相対距離を危険領域と定義し、この危険領域が両船間の初期相対距離、速力、大型船の種類によってどのように変化するかを検討した。

2)シミュレーション結果

南流最強時に最接近点の生じる位置は航路入り口における初期の相対距離の大きさと相対速力差で決まることが判明し、最接近は潮流の強い西水道の中央部で発生した。

 

 

 

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