?.　評価指標の検討

来島海峡のように地形が複雑で強い潮流があり、さらに船舶の輻輳する海城においては、船、人、環境をひとつのシステムとして評価し、航行安全対策を検討する必要があるとの観点から、図?-1に示す評価項目・評価指標を提案し、検討した。

本編では、提案された評価指標の内容、操船シミュレータ実験等により評価指標の検証を行った結果等について整理する。

1.航行の安全性に関する既存の評価指標

1.1概説

海上交通の安全性は、?船舶が航行する水域の航行環境(風潮流等の自然環境、他船舶との出会いによる交通環境等)、?船舶機能(運動性能、情報提供機能等の船舶固有の機能)、?操船者(船舶を操船する人間の特性)の3つの要素が、船舶運航システムとして適正に機能することによって確保できるものである。

表?-1-1に日本航海学会論文集、日本海難防止協会報告書等にて提案されている海上交通の安全性を定量的に評価する指標の一覧を示す。同表は、提案されている指標値が、上述の船舶運航システムを構成する3つの要素の何に着目して評価を行うものかを概観するものである。

本章では、狭水道等における船舶航行(主として潮流との対応を考慮した船舶航行)を主たる着目要素とし、船舶航行の安全性を定量的に評価する既存手法(表?-1-1においてメッシュを施した指標)のいくつかを概観する。

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