7.3音戸瀬戸の航行
(1)概要
音戸瀬戸は倉橋島と本州陸岸(広島県呉市)との間の狭水道で、東方から広島湾に通ずる最短距離にあり、小型船の常用航路である。
この瀬戸はS字型に大きく屈曲し見通しが悪いうえ、可航幅が狭く南口に架かる音戸大橋における水路幅約60mである。水路の維持水深は5mで、南口および北口に水路中央灯浮標が設置されている。
音戸瀬戸の地形を図I-7-11に示す。
(2)潮流
音戸瀬戸の潮流は一種の変則で、北流、南流ともに1回の潮で2回の強流速を示し、その間にいったん弱くなる。最強流速は2〜4ノットである。
潮流のパターンを下図に示す。
(3)航法
海上保安庁書誌第103号「瀬戸内海水路誌」記載の、この瀬戸を航行する際の注意事項等は以下のとおりである。
注意 この瀬戸は高速水中翼船、定期旅客船、いかだおよび瀬戸を横切る小型船の通航が多いので注意しなければならない。南口から北航する場合、なるべく南航船との出会いを避けるため十分水路を見通してから瀬戸に入るのがよい。
呉海上保安部では海難防止のため、次の航法により航行するよう指導している。
?瀬戸北口および南口にある各灯浮標は水路の中央を示しており、船舶はこの灯浮標を左に見て航行すること。
?速力はできるかぎり落して航行すること。
?狭水道で行き会う場合は、早目に右転して左舷対左舷で航過すること。
?200トンを超える船舶は、清盛塚〜音戸灯台間で他船を追越したり並航しないこと。