B.海上交通安全法「行先の表示」
1.「行先の表示」に関する現行法
1.1海上交通安全法
海上交通安全法(以下、海交法という。)における「行先の表示」(以下、行先信号という)の規定は以下のとおりである。
(行き先の表示)
第7条 船舶(汽笛を備えていない船舶その他運輸省例*で定める船舶を除く。)は、航路外から航路に入り、航路から航路外に出、または航路を横断しようとするときは、運輸省例*で定めるところにより信号により行先を表示しなければならない。
*同法施行規則第6条および別表第2
本条は、一定の船舶は、航路を出入し、または横断しようとするときは、信号によって行先を表示しなければならないことを定めた規定である。
船舶が航路の途中から航路外に出ること、もしくは航路の途中から航路へ入ることまたは航路を横断することは、航路における船舶交通の流れを乱すおそれがある。また、航路の出入口から航路を出ようとする場合も、それまで一定の流れを形成していた船舶交通が拡散することとなるため、航路における船舶交通に影響を及ぼすことがある。
このような航行をする船舶が、あらかじめ自船の行動を周囲を航行している他の船舶に前広に知らせることができれば、それを確認した他の船舶は、当該船舶の行動を予知し、より安全な進路を決定することができる等安全の確保に有効である。このような観点から、行先の表示を規定しているものである。
1.2「行先の表示」の内容
海交法施行規則第6条および別表第2に行先信号を行う船舶、行う場所、信号の方法および内容が定められている。(図1-1〜図1-6参照)
(1)船舶
汽笛を備えている総トン数100トン以上の船舶が行う。
(2)場所
海交法の各航路および付近の定められた場所で行う。
(3)方法および内容
昼間は国際信号旗により、夜間は汽笛信号を使用して行い、内容は各航路の航行しようとする経路毎に定められているが、その原則等は以下のとおりである。