まえがき
この報告書は、当協会が日本財団および日本海事財団からの事業補助金を受けて、海難防止の調査研究事業の一環として、平成7年度から平成9年度の3年間に実施した「輻輳海域における海上安全制度についての調査研究」の成果を取りまとめたものである。
調査研究テーマとして、海上交通安全法における「行先の表示」、および来島海峡の航行安全対策を選定した。
「行先の表示」は、海上交通安全法の各航路において表示が義務づけられている行先信号
(旗りゅう信号および音響信号)であり、最近の航行環境の変化に対応して、その効果、利便性をより高めるための改善策について検討し、提言を取りまとめた。
また、来島海峡の航行安全対策については、同海峡が航行船舶にとって潮流が強くて水路が複雑であるとともに異例な航法の採用によって対応する海域であったことから、これまでもいろいろな機関で調査研究が為されているところであるが、本調査では理論的、学術的なアプローチを試み、来島海峡の特徴を踏まえた航行環境を評価する指標について検討し、これを用いて航行安全上の問題点を検証し、その対応策(案)を示した。
調査研究の実施にあたり、ご協力を賜った関係各位に厚くお礼を申し上げる次第である。
平成10年3月
社団法人 日本海難防止協会