日本財団 図書館


まえがき

 

この報告書は、日本財団の平成9年度補助事業として実施した「新津波警報伝達システムの普及」事業の成果をまとめたものである。

わが国では地震による津波襲来の頻度も高く、過去に幾度も大津波に見舞われ、人的・物的に大きな損害を受けてきた。津波に対しては、一刻も早く避難することが第一であるが、そのためには津波警報がいち早く、かつ確実に市民に伝達されなければならない。

現在、気象庁から出された津波警報は都道府県等の防災関係官署を経由して関係市町村や消防署、警察署等に送られ同報防災無線や広報車、サイレンなどにより、また放送局からはテレビやラジオにより地域住民に知らされるようになっている。

しかし、これらの伝達方法は住民には極めて有効であるが、海岸や沖合でレジャーを楽しんでいる人達、漁業や海上作業に従事している人々には、情報が伝わりにくいのが現状である。北海道南西沖地震後の関係省庁連絡会議(平成5年11月)の申し合わせ事項「沿岸地域における津波警報の徹底について」においても、「海浜地への警報の伝達範囲の拡大」の必要性が述べられている。

平成8年度に財団法人シップ・アンド・オーシャン財団の補助を受けて「打上式津波警報伝達信号装置」が開発され、この装置を基に財団法人日本海洋レジャー安全・振興協会により「津波警報の伝達システム」の調査研究が行われた。

当協会では、本年度津波による災害防止の強化を目的に、この装置とシステムを利用した「新津波警報伝達システムの普及」事業として、財団法人日本海洋レジャー安全・振興協会の協力の基に、地域の防災関係者や関係団体、住民、報道関係者等を対象に説明会と公開実験を岩手県宮古市と静岡県沼津市で行い、その成果を報告書としてまとめた。

本事業は、文教大学情報学部吉井博明教授を委員長とする「新津波警報伝達システム普及調査」委員会の委員各位と、オブザーバーとして貴重な意見や助言を戴いた防災関係省庁の方々の熱心なご討論とご協力によるものであり、これらの方々に対し厚くお礼申し上げる次第である。

また、説明会・公開実験の実施に当っては岩手県庁、宮古地区広域行政組合消防本部、釜石海上保安部、宮古海上保安署、静岡県庁、沼津市消防本部、清水海上保安部をはじめとする関係機関・団体の多大なるご理解とご協力を得た。以上の他ご支援、ご協力を賜った方々に対しても感謝の意を表する次第である。

 

平成10年3月

社団法人 日本海難防止協会

 

 

 

目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION