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5.3 航行支援体制

(1) 航行援助施設

中ノ瀬西側海域の航路標識・灯浮標の改善案の検討

今回の大型タンカーによる中ノ瀬西側海域(東京湾中ノ瀬AおよびB灯浮標間の浅瀬)における乗揚事故発生に鑑み、同様な事故の再発防止と同海域の航行の安全を維持するため、ここでは、航路標識・灯浮標に関しては次のような対策・改善案についての検討が為された。

1)視認性の向上対策

?中ノ瀬A、BおよびC灯浮標の大型化、光力増大。

視認性を向上させることにより、各灯浮標が誤りなく把握され、ひいては自船の位置確認にも有効と考える。ただし、本対策に当たっては夜間小型船・漁船等の視認に影響を与えないこと等に配慮する必要がある。

?浦賀水道航路中央第6号灯浮標にレーダービーコンを新設する。

当該灯浮標は、浦賀水道航路北端の航路中央に位置するもので、南航・北航それぞれの航行船舶に対し、可航航路・進路を標示する重要な位置に存在する。

南航船が入航する時は当然のことながら北航船にとっても、レーダービーコンの新設により容易にその存在を知ることができ、航行安全に寄与するものと考えられる。

2)中ノ瀬A、B、CおよびD灯浮標設置位置の見直し

A、B、CおよびD各灯浮標を結んだ線の西側に20m等深線がはみ出さないように、所要の灯浮標の位置を西側に移動する。

当案については、各灯浮標を結んだ線より西側を航行している限り20m以浅の浅瀬に入り込まないというメリットがあるが、以下に挙げるデメリット・問題点等が多く、実施は望ましくないと考える。

<デメリット・問題点等>

イ)中ノ瀬西側海域が狭くなり、通航路の輻輳度が増大し北航船、南航船とも影響を受ける。

浅喫水(喫水13m以下)の船舶については、移設に伴うメリットはなく、逆に、年間130隻の航行実績である喫水17m以上の北航船(平成8年東京湾海上交通センターの航路通報に基づくデータ)の航行安全対策のために、他の航行船舶、錨泊船および操業漁船等へ影響を与える(制限を設ける)ことは、適切な方策とは考えにくく、また関係者の同意を得るのも困難である。

ロ)中ノ瀬西側海域航行路の屈曲度が増し直進進路がとりにくくなる等、航行路の形状の変化により、北航船、南航船との見合い関係にも悪影響を生じることが考えられる。

ハ)西側の水深の大きい位置への設置により、水深に比例するブイの振れ回り半径増大の影響。(巻末参考資料5.3-1参照)

 

 

 

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