熱交換サイクルの可能用途
各種のガスタービンには(第1図に示すとおり)熱交換器を使用することによる利点があるが、豊富にある低価格天然ガスを使用すれば単純サイクルが経済的に受け入れられ、資本費も少なくてすむので、現状では熱交換器の多くのものは市場にでまわりそうにない。だが(所得税を消費税に切り替えるという動きも含めて)燃料の価格が高騰する場合はこの状況が一変してしまうのである。排気ガス熱交換器が必須の選定用途は第1表に特記してある。熱交換器の設計者達は下記で強調してあるように高作動温度及び低コストのためセラミックを使用する必要がある極小機関分野に最大の努力を払っているのである。
ハイブリッド自動車用ガスタービン
自動車用ガスタービンの開発は1950年代のはじめより行われているが、燃料の経済性および火花・圧縮点火機関の排出物質が絶えず改善されているので、開発目標が定まっていないのである。近年、超高温運転を強調した再生装置と熱回収装置の両方を用いる多くの機関が生産され、展示されているが、開発は回転式セラミック回転式再生装置の使用に焦点が当てられている。
特定の燃料消費量、例えば0.30lb/hp.hr(即ち46%の効率)を実現するには、超高効率熱交換器を使用しまた機関の高温部にセラミックを広範囲に使用する必要がある。自動車用ガスタービンのR&Dに関する公開文献中に多くの研究資料が提供されているが、本論文では一件のみ参照する。シングルディスク再生装置を利用する小型ユニットの事例は第7図に示す。前述したとおり、排出は、サイクルパラメータ及び機関設計上の特色選定時の重要な要因であり、このことは特に自動車用ガスタービンの分野でも該当するのである。直結駆動システムに関する研究が継続している一方、ハイブリッド電気自動車用の小型ガスタービン(<100kW)の開発に現在関心が高まっている。インタークーラ付、回転式セラミック再生装置付、金属熱回収装置付、及びセラミック熱回収装置付のものを含めて、多種類の機関が開発段階にある。
自動車ガスタービン分野におけるこの関心の転換によって、設計者は、とりわけコスト面であるが概ね$25/kWを目標に、様々なチャレンジをしている。小型機関には、おそらく次のような特徴が含まれると思われる。(1)定速、(2)セラミック触媒燃焼器(多種燃料出力付)、(3)低コスト非金属コンポジット圧縮機、(4)セラミックタービン、(5)空気軸受、及び(6)セラミック熱交換器。熱交換器の目標コストは概ね$150で、前記の計画で最良の費用有効性解決策(即ち、セラミック熱回収装置もしくは再生装置)が明確になると思われる。自動車用ガスタービン機関の一般的設計上の重要な問題点に付いては報告済みである。