ピストン頂面の温度は,高過給機関ほど高くなり,この温度が材料の耐熱限度を越えると,亀裂発生等の事故を起こすので,潤滑油によりピストンの裏面を,強制的に冷却する必要があり冷却形ピストンが使用されている。その代表例を2・52図に示す。
最近の高速高出力機関には,2・53図に示すように,シリンダブロックに設けた固定ノズルによってジェット冷却する方式が主流となっている。又アルミピストンのトップリング溝部には,耐摩環(リングトレーガ)を鋳込みリング溝の摩耗に対処している。
ピストンの形状は,高熱を受ける頂部外径は,熱膨張を考慮して,スカート部に比べ幾分小さく加工されている。また,ピストンピンボス部は,ピン方向の膨張量が大きいため,ピストンピン方向を短径とし,その直角方向を長径とした楕円形に仕上げ,機関運転時熱を受けた時点で真円となるように作られている。(2・55図)
またピストン頂面は,燃焼室の一部を形成しているため燃焼方式により,2・54図に示すような形状に加工されている。