2.2 プロペラに関連する問題
1) プロベラの重い,軽い
プロペラが重いとか軽いとかいわれるのは重量を指すのではなく,主機関にかかる負荷の状態を表わしている。プロペラが重い,すなわち主機関が過負荷になったり,あるいはプロペラが軽い,すなわち負荷が非常に低くなるのは,主としてプロペラ設計時の各要素の推定の誤りに起因する場合が多い。このような場合には,正しく設計されたプロペラに取替えるか,あるいは,直径またはピッチを修正することによって,適正な負荷になるような対策を講ずる必要がある。
2) キャビテーション(空洞現象)
プロペラの回転数がある範囲を越えると,水との相対速度の関係で翼表面に圧力の低い部分が発生して気泡を生ずることがある。この現象をキャビテーションといい,圧力の分布状況を3・37図に示す。圧力の低い部分で発生した気泡が比較的圧力の高い後方に押し流されると周囲の圧力によってものすごい勢いで消滅する。このときの局部的な衝撃力はきわめて大きく,翼面の潰食(エロージョン)あるいは翼後縁の曲りの原因となる。また,キャビテーションがはげしくなると水は翼表面にそって流れることができず,プロペラ効率は著しく低下するとともに,振動や騒音の原因となる。プロペラ翼の損傷は,異物の接触を除けばほとんどがこのキャビテーションに起因するものであるといえる。