機関と直結か,または単独で送風機を駆動する過給機は,出力の5〜10%が送風機駆動に消費されるが,排気タービン過給機は,送風機駆動のための損失がない。
? 過給機と機関に機械的な連絡がない
機関と機械的な連絡がないので,機関の回転数に関係なくクランク軸の所要出力が大きくなると,排気の持つエネルギも大きくなり,自動的に過給機軸の回転が上昇して,吸入空気圧力も高まり,機関の使用状態に適した運転ができる。このため機関の正回転,逆回転にも関係ない。
? 消音作用がある
排気ガスタービン過給機は,排気の爆音を少なくする作用が強いので,排気サイレンサは簡単なもので充分である。
(b) 欠点
? 燃焼室周辺の温度が無過給機関に比べて少し高温になる
排気温度は吸気温度の変化に対して,2・144図のように変る。吸気温度10℃の上昇に対し,排気温度はシリング出口で18〜23℃位上るが,この傾向は高速エンジン程大きく,吸気温度上昇分の約2〜3倍位高くなる。
? 最高爆発圧力が上昇するので,機関の振動が大きくなる。またシリンダヘッド締付けトルクも高くする必要がある。
? 排気タービンが故障したときは,機関出力が減少する
無過給機関に比べて圧縮比が低く,又オーバラップが大きいので,排気タービンが故障して吸気圧が上らなくなると,上死点で排気ガスがシリンダ内へ逆流し,その為に同一形式の無過給エンジンより出力が低下する。
普通,舶用エンジンの場合は過給機が故障した場合でも,タービン軸を固定または応急短絡管を用いれば規定回転数の50〜70%の回転数で使用する事ができる。
? 低負荷において燃焼が悪くなる。